住宅営業の即答が不信感に?エンドユーザーの相談で分かった本音

住宅営業の即答が不信感に?エンドユーザーの相談で分かった本音

住宅営業がお客さんの質問にすべてその場で答えると、知識が豊富だと評価されていても、お客さんに不安を持たれることがあります。

一年ほど前に私が受けた住宅相談では、あるご夫婦が「どんなに難しい質問をしても、その場ですべて返答してくれる。その淀みのなさに不安を感じる」と話しました。

今から20年前に千葉県で取材した契約客も、同じ不信感を担当営業に持っていました。

本記事では、エンドユーザーからの個別相談と契約客取材の事例をもとに、即答する住宅営業が疑われる理由と、即答を控える受け答えの仕方を解説します。

住宅営業の即答に不安を感じたご夫婦の個別相談

毎月2〜3人のエンドユーザーから届く住宅相談

私の仕事は工務店やハウスメーカーなど住宅会社への営業指導で、営業指導に絞った仕事を24年間続けてきました。

ただ、私の仕事の10%ぐらいはエンドユーザー向けで、その多くはエンド向けのウェブ記事の執筆です。

記事を読んで私に直接連絡をくれ、住宅の個別相談を持ちかけてくるエンドユーザーが、毎月2〜3人います。

私は相談の経費をいただいていますが、ほぼ手弁当のような金額です。

それよりも、エンドユーザーから直接聞ける意見が、私にとっては住宅営業を指導するうえで役立つ、興味深い材料になっています。

相談には住宅会社の信頼性や、Q値・C値といった住宅性能の話も出てきますし、専門家の私が思わずうなるような質問もたまにあります。

「淀みのなさに不安を感じる」と話したご夫婦

一年ほど前に受けた住宅相談は、ズームでの打ち合わせでした。相談に来たご夫婦は、意中のハウスメーカーの担当営業について話を聞いてほしいという依頼でした。

オンラインで住宅会社の担当営業について相談する夫婦

私「意中のメーカーの担当営業マンについてお話をお聞きしたいということでしたよね?」

お客様「メーカーの信頼性は申し分ありませんし、担当である男性の営業社員も実にいい人で、知識も豊富で安心できるんですよ」

私「それでしたら、そのまま契約されても良いのではないですか?」

お客様「確かにそうなのですが・・・我々がどんなに難しい質問をしても、その場ですべて返答してくれるんですよ。その淀みのなさになんだか不安を感じているんですけども・・・私たちって妙ですかね?(笑)」

ご主人と奥さんは真顔ではなく、自分たちも少し笑いながら話していましたが、相談の中身は本当にこのとおりでした。

私も答えようがなかったのですが、「その営業の方は信用してもいいと思いますよ」と丁寧にお伝えしました。

営業の知識がありすぎて怪しいという相談は、私にとって完全に想定外の内容でした。

即答する住宅営業に不信感を持った千葉の契約客

契約後の取材で語られた初対面の印象

同じようなことは、今から20年前にもありました。

私が千葉県で契約客の取材をしたところ、一年ほど前に相談を受けたご夫婦とまったく同じ不信感を担当営業に持ったという感想が、その契約客から出てきたのです。

ただし、これは契約した後の取材で、取材のアポを取ってくれたのは、最初に不信感を持たれた担当営業本人でした。

私が契約客に営業との初対面の感想をいろいろ伺っている中で、この話が飛び出しました。

担当営業は現在40代半ば付近の社員で、取材当時の私の印象では、実によく勉強していて歯切れのいい営業でした。

契約客への取材で分かることは、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。

研修でフィードバックを受けた担当営業の戸惑い

取材を終えた後、私は担当営業に取材の内容をフィードバックしました。取材の映像を使い、幹部を含めた注文住宅部門の営業社員が一堂に会する研修を開いて、その場で担当営業の意見を聞いたのです。

担当営業の彼は当惑していました。

契約客が納得して自分と契約してくれたのですから、彼が自分の答えは完璧で、契約客も100%納得していたと考えていたのは当然です。

不信感を持たれていたとは、彼は微塵も思っていなかったはずです。

「お客さんそんなこと思ってたんですね・・・」

彼としてはこう言うのが精一杯で、これ以上は答えようがなかったと思います(笑)。

淀みない即答が「でまかせ」に見える理由

詐欺の被害に遭った人が一様に口にするのは、犯人の自信を持った対応や、どんなことにも即答する知識の豊富さです。住宅営業の受け答えがあまりに淀みないと、お客さんは「この人は口からでまかせを言っているのではないか」という猜疑心(さいぎしん)を持つことがあります。

一年ほど前に相談を受けたご夫婦も千葉の契約客も、営業の知識不足ではなく、知識がありすぎることに不安を感じていました。住宅会社が考えていることとお客さんが考えていることにはずれがあり、そのずれを住宅会社が知っておくと、新築受注にまた一歩近づくと私は考えています。

住宅相談で施主が工務店に抱いていた不信感の中身は、工務店が選ばれない3つの理由で解説しています。

即答を控える住宅営業の受け答え

千葉の担当営業が取材後に挟むようにした言い方

千葉の担当営業は、取材以降、営業スタイルを少し変えました。彼は即答できる質問であっても、判断を避けるような返事をわざと挟むようにしたそうです。

「念のためにお調べしてからお答えします」

「それで間違いないと思うんですけども、確かに微妙かもしれませんね」

営業は100%の受け答えを目指すのではなく、たまにはわざと困ったふりをするのも営業テクニックではないかと、私はこの件で思うようになりました。

反対に、即答できる準備を重ねて信頼を得る展示場のトップ営業の例は、トップ営業の接客と即答の習慣で解説しています。

営業マン選びに住宅系YouTuberを頼るお客さん

YouTube動画1本でアクセスが10%以上増えた住宅会社

ここ2〜3年、住宅系YouTuberが一定の勢力を持ち、お客さんの住宅会社選びで大きな役割を担い始めています。

たとえば、有名YouTuberのA氏がある住宅会社を取り上げた12分の動画をアップしたところ、翌日にはその住宅会社のホームページのアクセスが10%以上増えました。

その住宅会社の会員サイトの登録者数も一気に100件増えたと、社長が話していたほどです。

有料の営業マン紹介サービスに申し込むか迷った相談者

半年前、私のメールにあるエンドユーザーから相談が届きました。

相談者は住宅関連の有名WEBサイトで私の記事を読み、私が積水ハウスの営業出身だと知って相談したくなったそうです。

ズームで話を伺うと、相談者は住宅営業マン選びで失敗したくないので、ある住宅系YouTuberが配信していた有料の営業マン紹介サービスに申し込むかどうか迷っていました。

YouTubeから紹介サイトを知り、住宅会社と商談した施主の事例は、ハウスメーカー紹介サイトで契約した事例で解説しています。

正直なところ私には何とも答えようがなかったので、私が把握している成功事例と失敗事例だけを淡々とお伝えして相談を終えました。成功事例は紹介を受けて大満足という話なので、相談者の判断材料になるのは失敗事例のほうです。

私がお話しした失敗事例は、相談者が検討していたのとは別のYouTuberの紹介システムで、紹介された営業マンがどう考えても一定の水準に達していなかったというものです。

その営業マンの受注実績は素晴らしかったものの、数字はブルドーザーのような強引な営業で積み重ねたもので、紹介システムの側はその数字をもって優秀な営業マンと認定していたふしがあります。

お客さんが納得して契約し、契約後も「この営業マンを信頼してよかった」と言われる営業マンかどうかは、受注数だけでは分かりません。

優秀な営業マンを判断して選別するのは至難の業だと、私は思います。

大手ハウスメーカーでも担当者で受注が大きく分かれる

同じ住宅会社でも、担当者によって成否は大きく分かれます。

大手ハウスメーカーには営業マンが3,000人、4,000人という数がいて、とんでもない受注数を誇る営業マンがいる一方で、10年経っても数字の伸びない営業マンもいます。

大手の看板を背負っていれば、多少のばらつきはあっても、ここまで差が出るのはおかしいと思いませんか。

住宅営業は最終的に人対人の仕事で、営業マンの知識や人間性などの総合力がお客さんに評価される世界です。

まとめ

エンドユーザーからの個別相談では、知識が豊富で何を聞いても即答する住宅営業に、お客さんがかえって不安を感じるという、住宅会社の想定外の本音が出てきました。千葉の契約客も同じ不信感を持っていて、担当営業は取材後に「念のためにお調べしてからお答えします」と判断を避ける返事を挟むようになりました。

営業マン選びに有料の紹介サービスまで検討するお客さんがいるほど、住宅営業は人対人で評価されます。住宅会社の考えとお客さんの考えのずれを知ることが、新築受注への一歩になります。

ぜひ本記事のエンドユーザーの相談事例を参考に、自分の即答がお客さんにどう受け取られているかを見直してください。

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