土地探しの客に土地紹介は何回?5回目で決まった住宅営業の事例

土地探しのお客さんに希望に近い土地を持って行き、2回、3回と断られると、住宅営業の心の隅には「この人はこの先土地を持って行っても決まらないかもな」という気持ちが湧いてきます。そこで手を止めてしまい、4回目の土地を持って行く営業社員は、現実にはあまりいません。
某大手ハウスメーカーの役員は、土地紹介を4.5回重ねると決まる確率が格段に上がると話しています。5年間土地を探し続けたお客さんも、競合3社が2〜3回で連絡を絶つ中、5回目の土地を持ってきたA社の営業社員と契約しました。
本記事では、土地探しの客に土地紹介を何回続けるべきかと、お客さんに選ばれる土地紹介の資料の作り方を解説します。
土地探しの客への土地紹介は何回目で決まるか(ハウスメーカー役員の4.5回理論)
某大手ハウスメーカーの役員から聞いた話を、そのまま紹介します。
あるお客さんが土地を探していて、大手ハウスメーカー5社に足を運んだとします。
お客さんは、それぞれ対応した営業社員に希望の土地を伝え、「希望に合う土地が見つかったら連絡をください」と言い残して帰りました。
5社の住宅営業が3回で手を引くまで
希望にかなう土地がまったく無ければ紹介しようがありませんが、ある程度満足してもらえそうな土地があれば、営業社員はお客さんに連絡して紹介します。
5社なので営業社員は5人いて、ひとまず全員が1回はお客さんにコンタクトを取ります。
ところが、お客さんは5社が持ってきた土地をすべて断りました。
5人の営業社員はさらに頑張って2つ目の土地を探し、お客さんにアプローチしましたが、お客さんはこの2回目もすべて断ったとします。
2回断られた営業社員の心には、「決まらないかもな」というネガティブな気持ちが出てきます。
それでも5人とも奮起して3回目に挑みましたが、お客さんはまた断りました。
ここまで来ると、5人全員が4回目に挑む確率は極めて低くなります。
何度土地を持って行っても断るお客さんに要望の優先順位をつけてもらう方法は、「もっといい土地がある」客への土地提案で解説しています。
4.5回を超えた5回目で決まる確率が上がる
役員は、私にこう話してくれました。
「3回駄目で4回目にチャレンジする営業社員っていうのは現実にはあまりないんだよね。これは単純に気分がめげるって事もあるけども、データ上もそうなんだよ。たくさんの営業社員の行動パターンを見ていると、4回目って行かないんだよね。ところが面白いことに4.5回行くと決まる確率が格段に上がると私は思ってるのよ」
私はこの話を、言い得て妙だと思いました。
私が営業に戻ったとしても、3回行ってダメなら確かにめげます。
4.5回が平均値だとすると、4回目のアプローチではまだ確率は低く、5回行けば平均値を上回るので決まる確率が飛躍的に高まるという理屈になります。
役員はこれを当てずっぽうで話したのではなく、データをもとに私に説明してくれました。
私は、この行動パターンと役員の話を信じて5回目まで土地を持って行くのも一案だと考えています。
30年前に先輩から聞いた話と同じだった
私は現役時代、直属の先輩から似たような話を聞いた記憶があります。
それが4.5回だったかどうかは覚えていませんが、話の筋は役員が言ったこととまったく同じでした。
私は思わず「同じような話を昔聞いたな」と懐かしくなりましたが、こうした理論は30年の時を経ても案外変わらないものなのかもしれません。
5回目の土地紹介でA社を選んだ土地探しの客(住宅営業の取材事例)
私はあるお客さんとメールでやり取りをして、リモートによる取材の約束を取り付けました。
このお客さんは私が個人的に探した方ではなく、かなりの棟数を手がける住宅会社からの依頼です。
依頼主の住宅会社は、お客さんへの取材を徹底的に行い、そこから受注をさらに増やすことを狙っています。
お客さんは5年にわたって土地を探し続け、最終的に住宅メーカーA社の担当営業社員が探してきた土地を気に入って契約しました。
お客さんによると競合会社は3社いたようで、どの会社も2回目、3回目あたりまでは土地を持ってきたものの、その後は音沙汰がなくプッツリ途絶えたそうです。
A社の担当営業は何回も土地を持って行き、5回目に持参した土地をお客さんが気に入って契約に至りました。
私は5回目になったのはたまたまだと思いますが、結果は役員の4.5回理論と重なります。
私はまだ取材前でこのお客さんに会っていませんが、どんな内容が出てくるかはだいたい当たりをつけています。
担当営業社員から少し話を聞いたところ、お客さんが土地を気に入ったことが最大の要因なのはもちろんですが、お客さん側にも「ここまでよくやってくれたよね」という雰囲気が少しにじみ出ていたそうです。
私は、営業社員が地道に土地を探し続けた汗も、お客さんは見ていたと考えています。
私は取材でこの辺りをご夫婦に突っ込んで聞くつもりで、おそらく想定どおりの答えが返ってくると思っています。
土地の斡旋がうまい営業社員は、そうでない営業社員に比べて、何かしらのテクニックや優れた点を持っているはずです。
私は、その点を解析すれば土地の斡旋がうまくなり、そのまま新築住宅の受注につながると考えています。
訪問販売型の住宅会社は営業の回数を数字で管理する
世の中には訪問販売型の会社がたくさんありますが、数字を上げている訪問販売の会社は、データを頭にたたき込み、すべてを数字で計算して営業活動をしています。
週1回、朝から晩まで電話をかける関西の住宅会社
関西地方にある住宅会社では、社長の方針で週に1回、営業社員が一つの部屋に集まり、朝から晩までお客さんへ電話をかけ続けています。
私個人としては、どうしても就職したくない会社です(笑)。
それでも、この住宅会社は成果を上げています。
この住宅会社は比較的規模が大きく、過去のデータが蓄積されているので、たとえば1日あたり1万本の電話をかければ〇〇%のアポイントが取れ、さらにその中の〇〇%が契約に至るという数値を持っています。
小さな会社ではなかなか成り立ちにくい方法ですが、分母が増えると統計学の論理が働き、数字の精度は極めて高くなります。
社長は理科系の出身で、大学は数学科だったそうなので、こうした発想が抵抗なく浮かぶのだと私は思います。
社長はすべての営業活動について、数字やデータを徹底的にパソコンに入れて解析する営業手法を取っています。
アポイント率が下がったら電話の本数を増やす
極端な例ですが、1日1,000本の電話をかけて10件のアポイントが取れたとします。
ところが数か月後のデータでは、1,000本の電話で5件しかアポイントが取れなくなっていました。
この場合、住宅会社が以前と同じ10件のアポイントを取るには、1日あたり2,000本の電話をかければよいことになります。
1,000本を2,000本にするのは至難の業ですが、もっと小さな減り方であれば、減った分を補う本数を計算して通常の本数に上乗せすれば、成果は同じになると推測できます。
リモートで見せる土地紹介のプレゼン資料(4年前に私が勧めた方法)
A社の営業社員が選ばれたもう一つの理由は、土地紹介のプレゼンテーションにあると私は考えています。これも仮説ですが、この営業社員はお客さんに土地情報を紹介するとき、他メーカーより見栄えのするプレゼンテーションをしています。

物件概要書1枚を持参する土地紹介から変える
最も原始的な土地紹介は、住宅営業がよく目にするB4判白黒の物件概要書を1枚お客さんの家に持参し、「いい土地がありますよ」と口頭で伝えるやり方です。
昔は土地情報をお客さんの家に郵送するか、営業社員が直接持って行って話をしていました。
しかし、時代は大きく変わりました。
今から4年前に私はこの営業社員にあるアドバイスをして、営業社員は今もそれを忠実に守っています。
ストリートビューと現地撮影で資料を準備する
コロナは世界中を変えてしまいましたが、住宅営業の世界にも大きな変革をもたらしました。リモートが一気に一般的になったので、私は土地案内について、直接会って現地に行くのも手ですが、プレゼンテーション資料を整えてリモートで紹介すれば、より細かいことを伝えられると考えたのです。
ただ、営業社員の準備は大変です。
ストリートビューで途中の風景をキャプチャーしておいたり、営業社員が自分でその土地から近くの小学校まで車を走らせてスマホで撮影したりと、さまざまな資料が必要になります。
それでも営業社員がこの土地はいいと確信を持ったら、勝負するためにもそこまで下調べをした上で、リモート折衝をしてほしいと私は考えています。
A社の営業社員は私が研修で伝えたことを今もかたくなに守り続けていて、成果をしっかり出している営業社員です。
小学校までの道を撮影しておくような周辺環境の見せ方は、周辺環境を映像で見せる住宅営業の土地提案で解説しています。
まとめ
土地探しのお客さんへの土地紹介は、多くの営業社員が3回断られた時点で手を止めますが、役員の4.5回理論では5回目まで持って行くと決まる確率が飛躍的に高まります。
5年間土地を探したお客さんも、競合が途中で連絡を絶つ中、5回目の土地を持ってきたA社の営業社員を選びました。
営業社員が回数を重ねる努力と、リモートで細かく伝えるプレゼン資料の両方が、選ばれた理由だと私は考えています。
本来なら取材の後に書くべき内容ですが、私はあえて予測を含めて考え方を書きました。6月下旬から7月上旬にかけて8人のお客さんをリモート取材する予定で、細かい情報は書けないものの、差し障りのない部分はコラムで公開して営業の一助にしたいと考えています。
ぜひ本記事の4.5回理論とリモートでの土地紹介の方法を参考に、2〜3回断られた土地探しのお客さんへ、もう一度土地を持って行ってください。



