住宅営業にAIは使える?Google Bardで応酬話法を検証した結果

クロージングで契約の話を切り出したとたん、お客さんから「もうちょっと考えさせてくれませんか」と返されます。住宅営業は、その裏にある理由を営業担当者個人の経験と勘で推し量ってきました。
私が先日Google Bardへ「父親が反対している」と断られたときの応酬話法を質問したところ、若手社員の教育なら十分に使える答えが返ってきました。私は、AIが拒絶理由の推測、お客さんの感情の読み取り、商談中の返答選びの3つの場面で住宅営業を手伝えるようになると考えています。
本記事では、住宅営業でAIが使える場面と、Google Bardで応酬話法を検証した結果を解説します。
住宅営業でAIが使える3つの場面
住宅営業のAI化と聞いて、私が真っ先に思い浮かべたのは応酬話法の構築です。
「もうちょっと考えさせて」の本当の理由を推測して応酬話法を作る
住宅営業が契約を目指してお客さんと商談するとき、何の障害もなく話がまっすぐ進むことはまずありません。営業担当者がそろそろクロージングしてもいいだろうと考えて契約締結の話を持ち出しても、お客さんが首を横に振ることがあります。
「もうちょっと考えさせてくれませんか」
営業にとって最も厄介なのは、明快な理由のないこのあやふやな拒絶です。
これまで営業担当者は、拒絶の裏にどんな阻害要因があるのかを経験や勘で類推しながら話を前に進めていました。
私は、この類推をAIに任せれば、問題が解決する可能性があると考えています。
ただし、「もうちょっと考えさせてくれませんか」という一文だけを入力しても、AIは判断できないでしょう。営業担当者がそれまでに交わした言葉のうち、キーポイントになる部分を数十か所入力すれば、AIがその流れから拒絶に隠された本当の理由を推測できる可能性があります。
たとえば、お客さんの表向きの言葉は「もうちょっと考えさせて」でも、実際には急に親が出てきて契約をストップさせた可能性もあります。
AIがそれまでの流れからこの可能性がいちばん高いと判断して、営業担当者に知らせることは十分にあり得ます。
そのうえで、AIがこの拒絶に対する応酬話法を作成し、営業はそのとおりに話せばよいのです。
商談を録音して感情の変化と最適な返答を読む
感情の読み取りと返答選びには、どちらもお客さんに分からないように商談の会話を録音する作業が発生します。
人間は同じ言葉を発しても、話すスピードや声の微妙な高低に本心が表れることはよく知られています。
技術が進めば、AIが声の変化を細かく判断し、営業担当者に次の一手を教えることも可能になると私は考えています。
返答選びは、お客さんとテーブルを挟んで商談している場面を想定すると分かりやすくなります。
商談が契約を迫る段階に入ると、営業担当者は気持ちがそわそわして、どのタイミングで契約の決断を迫ろうかと探り始めます。
話を切り出してすぐにお客さんがOKしてくれれば問題ありませんが、実際にはなかなかそううまくはいきません。
その場でAIが最適な返答を選んで営業担当者を補助する時代が、すぐにやって来るかもしれません。
応酬話法のほかに追客メールの下書きや初回面談の話題選びも含め、住宅営業でAIを使える場面については、住宅営業のAI活用の6つの使い道で解説しています。
住宅営業の応酬話法をAI(Google Bard)で検証した結果
私はつい先日発表されたGoogle Bardに、実際に起こりそうな商談の会話を入力し、どんな答えが返ってくるかを検証しました。

父親の反対で契約を断られた場面を質問した
私が入力した質問は、建築請負契約を迫った場面で、お客さんから父親の反対を理由に断られたという設定です。
質問「新築の契約をお客さんに迫ったところ、父親がダメだと反対していると言われてしまいました。次はどのような応酬話法を展開したら建築請負契約が取れるでしょうか」
回答1は若手社員の教育に使える内容だった
Google Bardから最初に返ってきた回答です。
【回答1】(原文ママ)
お客様の父親が新築の契約に反対されているとのこと、残念に思います。
しかし、契約を獲得する可能性はまだ残っています。
まず、お客様と父親の両方と話し合う機会を設けることが重要です。
お客様の父親の懸念を理解し、それらに対処する計画を立ててください。
たとえば、父親がお金が心配なら、お客様がどのように資金調達をするのかを説明し、お客様が支払いを滞納した場合にどうなるかを説明してください。
父親が住宅の場所を心配している場合は、お客様のニーズに合った場所を見つける方法を説明してください。
お客様と父親の懸念に対処したら、お客様になぜ新築契約に署名する必要があるのかについて説明する必要があります。
お客様の家族にとってどのようなメリットがあり、なぜ今が新築に最適な時期なのかを説明してください。
お客様が新築の契約に署名する理由を十分に理解できれば、署名する可能性が高くなります。
最後に、お客様と父親に忍耐強く理解することが重要です。契約を獲得するには時間と労力がかかりますが、努力する価値はあります。
目が覚めるような答えはさすがにまだ無理ですが、若手社員の教育なら十分に使える内容です。Google Bardが極めてまともなことを話していることに、私もあらためて驚かされました。
回答2は会話例付きだが、つじつまの合わない部分もあった
Google Bardは、別の回答としてなかなか興味深い内容も提示しました。
【回答2】(原文ママ)
お客さんに父親が反対していると言われてしまった場合、まずはなぜ父親が反対しているのかを聞くことが大切です。
理由がわかれば、それに対する解決策を提案することができます。
例えば、父親が費用面で心配している場合は、分割払いなどの支払い方法を提案することができます。
また、父親が安全面で心配している場合は、自社の高い安全基準について説明することができます。
理由がわかったら、お客さんに契約のメリットを説明しましょう。
自社の強みや、お客さんに提供できる価値について話しましょう。
また、お客さんが契約を結ぶことで得られる具体的なメリットについても話しましょう。
最後に、お客さんに契約を結んでほしいとお願いしましょう。
契約を結ぶことで、お客さんの夢のマイホームを実現できることを強調しましょう。
また、自社との契約は安心できることを強調しましょう。
以下は、応酬話法の例です。
お客さん:父親がダメだと反対している。
あなた:なぜですか?
お客さん:お金が心配だから。
あなた:分割払いなどの支払い方法をご用意しています。また、自社では高い安全基準を採用していますので、安心してご契約いただけます。
お客さん:確かに、それなら安心できるけど、それでも契約を結ぶかどうかはわからない。
あなた:契約を結んでいただくと、夢のマイホームを実現できます。また、自社との契約は安心できることを保証します。
お客さん:よく考えさせてください。
あなた:わかりました。ご検討いただき、ありがとうございます。
契約を結んでもらうためには、お客さんのニーズを理解し、それに応えることが大切です。
また、契約を結ぶメリットをしっかり説明する必要があります。
回答2には、細部で意味が通じなかったり、つじつまの合わない会話が紛れ込んでいたりする部分があります。それでも全体として見れば、回答2は営業の参考になるポイントをそれなりに突いています。
Google Bardとは別のAIに住宅営業の集客を質問した結果は、Grokが答えた住宅営業の集客策で解説しています。
Google BardでもChatGPTでもかまわないので、お客さんとのやり取りを想定した内容を質問してみてください。
AIから結構面白い返事が返ってきます。
契約客への取材から分かった奥さんへの接し方は、ハウスメーカーの営業トークで解説しています。
営業のAI化に出遅れた工務店は淘汰される
「営業現場のAI化などまだまだだろう」と考えている工務店は、あっという間に時代に先を越されて淘汰されると私は予想しています。現状のAIにはまだ足りない部分がありますが、ここ数年でかなりの領域に達することは、専門家が述べているとおり間違いないと私も思います。
住宅営業の応対事例はAIにまだ蓄積が少ないため、Google Bardの回答も現時点ではこの程度の水準にとどまります。ただ、この種の技術は瞬く間に進化するので、5年先には飛躍的な進化を遂げている可能性が十分にあります。
世界的にはAIの進歩に警鐘を鳴らす声も多いものの、AIがビジネスの世界にどんどん入り込んでくることは間違いありません。つい先日も、ある調査機関から私に問い合わせがありました。
「住宅業界においてAIが果たす役割はどんなものが考えられるか?」
私は営業面や現場面を含めていろいろなお話をさせていただきましたが、AIをビジネスと捉える人たちがすでに動き始めていることは間違いない事実です。工務店の経営者も出遅れないよう、AIの動きを注意深く追ってください。
営業以外の領域で住宅メーカーのAI活用がどこから進むかについては、アフター対応と現場安全管理のAI活用で解説しています。
まとめ
住宅営業でAIが使える場面は、拒絶理由を推測して応酬話法を作る場面、録音した会話から感情の変化を読む場面、商談中に最適な返答を選ぶ場面の3つです。私がGoogle Bardで検証した応酬話法は、目が覚めるような答えではないものの、若手社員の教育なら十分に使える水準でした。
AIの精度がまだ低くても、営業現場のAI化を先のことだと考える工務店ほど時代に先を越されます。
ぜひ本記事のGoogle Bardの検証結果を参考に、自社の商談で実際にあった場面をAIに質問してみてください。



