住宅営業の新卒研修は驚きの連続|トップ営業になったC君の事例

新卒の住宅営業に雑談ロープレをさせたとき、私が出した事故の話題に新人A君が「何の事故でしょうか?」と返し、私がロープレを止めたことがあります。
従業員1,000人を超える住宅会社の社長は、「休日に研修なんてしたら新卒が辞めちゃうよ」と私に話しました。
住宅営業の研修は、精神論だけに頼らず、展示場の場面ごとに言葉と理由を添えて具体的・理論的に教える形に変える必要があります。私の研修で、ロープレとお礼状が抜きんでていた新人C君は、その後トップ営業になりました。
本記事では、私が新卒研修で見てきた新人の実態と伸びた新人の事例、いまの時代に合った住宅営業研修の進め方を解説します。
住宅営業の新卒研修で私が見た新人の実態
住宅営業の新卒社員は、4月に入社すると新卒教育を受けます。
2021年は、私のもとにも2社から新卒研修の依頼がありました。
1社は大卒の営業を1人だけ採用した小規模な工務店で、もう1社は〇〇人の大卒者を採用した大規模な住宅会社です。
私は両極端な2社の新卒教育を、2021年5月・6月に行う予定を組みました。
私はこれまで多くの新卒社員を研修で見てきましたが、新人の知識のなさにあきれることも少なくありませんでした。
池袋の事故を知らなかったA君の雑談ロープレ
2019年4月19日、東京・池袋で高齢ドライバーの車が暴走し、母親と幼い娘が亡くなる事故が起きました。NHKは2021年4月のWEB記事で、事故から2年を迎えて遺族が事故現場を訪れ、改めて交通安全を訴えたことを報じています。
私は事故の8日後に、ある住宅会社の新入社員研修を行いました。研修は1日だけの集合研修で、午後一番に、お客さんと雑談を交わす練習として雑談ロープレを行ったときに、その出来事は起きました。
私「私にも幼い娘がいるから、あの池袋の事故は何とも言えない気分になるよね」
新卒A君「……何の事故でしょうか?」
私「あの池袋の事故ですよ」
新卒A君「ごめんなさい……知りません」
私はここでロープレを止めました。
池袋の事故は2021年になっても多くの人が覚えている事故で、「上級国民」という言葉が広まったり、運転していた高齢者の「安全な車を作らないメーカーに責任がある」といった言動がたびたび物議をかもしたりしました。
しかも研修の時点では事故から8日しか経っておらず、あの事故を知らない日本人を探すほうが難しい状態でした。
A君が池袋の事故を知らないのであれば、ほかのニュースや常識はさらに知らない可能性が高いと私は考えました。
ロシアの首都を「パリ」と答えたA君
私はA君に「ロシアの首都は?」と質問しました。A君の答えは「パリ」でした。
地理が得意か不得意かという話ではありません。
A君の出身大学は有名大学ではないものの、いわゆるFランクではなく、それなりの大学です。
私はほかの質問もどんどん投げかけましたが、A君があまりに物を知らないことに驚かされました。
A君がこのままでは、お客さんと幅広い雑談を交わすことは望めません。
新卒営業が初回面談でつまずく場面と、それを防ぐロープレの進め方は、住宅営業の初回面談で失敗する場面で解説しています。
芸能色の強いワイドショーしか見ない入社2年目のB君
B君は2021年時点で入社2年目の24歳で、住宅会社としてはそろそろ売ってもらわないと困る営業です。B君も、世の中の出来事に疎い典型的な若者でした。
私が毎月訪問しているB君の会社では、B君が新幹線の駅まで車で迎えに来てくれます。
駅から会社までは20分ほどで、私はB君と車内で取り留めのない会話をします。
B君は車内でテレビをつけていて、お昼の時間帯はいつも同じワイドショーが流れています。
午後のワイドショーは4番組がしのぎを削っていますが、B君が見ているのは最も芸能色が強い番組です。
私は芸能番組を見ること自体が悪いとは言いません。
ただ、B君が社会ネタに強いワイドショーを見ていれば、世界の動向を含めた情報がいやおうなしに入ってくるはずです。
お笑い芸人が大声で笑い転げている番組だけを見ていたら、B君はいつまでたっても情報過疎から抜け出せません。
若手営業の時事知識の不足を補う練習は、若手住宅営業の雑談ロープレで解説しています。
住宅営業研修で抜きんでた新人C君の体験談
私は10年ほど前に、新卒者20人ほどを担当して新卒研修を行いました。研修から10年が経つころには20人のうち15人ほどが残っていて、研修で最も印象に残ったC君がトップ営業になっていると私は耳にしました。
私がC君について覚えているのは、ロープレです。細かい内容を文章で伝えるのは難しいのですが、C君のロープレは20人の中で明らかに秀でていました。
新卒研修でのロープレの組み立て方は、住宅営業のロープレ実例と進め方で解説しています。
私は研修で、展示場で接客した後にお礼状を書くよう全員に教えました。
営業たちは現場に配属されてから実行してくれたようで、研修終了から6か月が経ったところで、私は各営業が実際に書いたお礼状の事例を束でどさっと受け取りました。
私が1通ずつ目を通すと、C君の手紙は明らかに秀逸でした。
C君が達筆だったこともあるかもしれませんが、きれいなタッチで書かれた手紙はなかなかのものでした。
ほかの営業のお礼状は、ごく一般的なものばかりでした。文頭は「お世話になります」から始まり、失礼はないものの、あまりにつまらない文章が並んでいました。
C君の手紙は違いました。私の記憶では、C君は手紙にこう書き連ねていました。
「つかぬことをお伺いしますが、ご主人がちらっとお話しされていた【私の本当の夢】とは、室内でドラムを思いっきり叩くことではないかと思ったのですが当たっているでしょうか……」
C君の手紙は、さらに防音室の提案へと続いていました。
「値段は少々高いのですが、YAMAHAから素晴らしい防音仕様の部屋が出ていますので資料を同封させていただきます」
C君のお礼状には、ほかの営業のテンプレのようなお礼状と違い、ひと工夫も二工夫もありました。伸びる新卒営業に共通する習慣は、住宅営業の新人育成の事例で解説しています。
休日の研修が通用しなくなった住宅会社の事情
新卒研修とは話が少しそれますが、住宅会社が研修を行うのも大変な時代になりました。
積水ハウス時代は休日開催が当たり前だった
私が積水ハウスに入社したころ、研修はいつも休日に開かれていました。
「自分のためにやるのだから業務時間にやるのはおかしいだろ」
会社側は、こういう理屈で休日の研修を組んできたわけです(笑)。
私も内心は不平不満だらけでした。
ただ、私はサラリーマンでもあり、時代背景もあったので「こんなもんかな」とあきらめていました。
当時は「24時間働けますか?」というCMが世の中を席巻し、そのCMソングが流行した世相でした。
「休日に研修なんてしたら新卒が辞めちゃうよ」と話した社長
私は、1,000人を超える従業員を抱える住宅会社の社長と、ZOOMで研修の打ち合わせをしました。
私「新春から夏にかけて研修会をやりましょう。集合しなくてもZOOMとかも使えますし」
社長「あのね、研修はやらないといけないと思っているんだけど、日程が難しいんだよ。働き方改革で研修を休日にやるなんてもってのほかだから、時間がなかなか捻出できないの。そんなことしたら新卒が皆辞めちゃうよ」
社長の会社も以前は、当たり前のように休日をつぶして研修をしていました。住宅会社の研修を取り巻く時代は、大きく変わったということです。
新卒の住宅営業研修は具体的で理論的に教える
20年前と今の新卒研修を比べると、根性型というか精神論の内容で覆いつくされた新卒研修は、ずいぶん減ったと私は感じています。
私は精神論の研修を否定しているわけではありません。
社会は理不尽の塊なので、理不尽な研修もありだと私は考えています。
ただし、若い人たちは精神論の要素を含んだ研修だけではついてこられず、住宅会社は具体的で理論的な話で教える必要があります。
集合研修の後に新人の得意分野で役割を持たせる育て方は、住宅営業の新人研修と役割の持たせ方で解説しています。
展示場を撮影したテキストで場面ごとに理由を教える
2021年5月の新卒研修に向けて、私は2日間をかけて大量のテキストを仕上げました。私はテキストを作るにあたって、研修先の会社が出店している住宅展示場に出向き、すべてを撮影しました。
研修は「玄関で〇〇を見ながら△△と言ってみよう。なぜ△△と言うかという理由は……」という形で進める予定です。
新卒教育で過去の名簿を訪問させる方法は、住宅営業の新卒研修での放棄リスト訪問で解説しています。
まとめ
私は住宅営業の新卒研修で、池袋の事故を知らなかったA君や、芸能色の強いワイドショーだけを見ているB君のように、時事の知識が足りない新人に出会ってきました。一方で、ロープレとお礼状で抜きんでたC君は、10年後にトップ営業になっていました。
休日に研修を組めなくなった住宅会社では、限られた時間の中で、展示場の場面ごとに言葉と理由を教える具体的で理論的な研修が求められます。
ぜひ本記事の新人の事例と研修の進め方を参考に、自社の新卒研修のテキストとロープレの内容を見直してください。



