個人宅への訪問営業のコツは事前訪問予告|50件で3件と話せた体験談

個人宅のインターホンを押して住宅会社の名前を名乗ると、相手は応対に出ないか、出てもひと言で会話を切り上げます。訪問の件数を増やしても、契約にまで進む家はなかなか出てきません。
住宅営業が個人宅への訪問営業で話を聞いてもらうには、訪問の2〜3日前にチラシで事前訪問予告をしておく方法があります。
私は積水ハウス入社1年目に、分譲後25年たった団地で予告チラシを配ってから回りました。
その結果、50件の訪問のうち3件で深い話ができました。
本記事では、事前訪問予告で成果が出た体験談と、私がこの手法を学んだ新聞拡張団の話、個人宅で予告訪問を試す段取りを解説します。
住宅営業の訪問営業は廃れないが根性と粘り強さが要る
住宅営業はもちろん、地主相手のアパート営業など、個人宅への飛び込み訪問を主力の営業手法にしている業種は多くあります。
ただ、効率の問題やコロナ禍の影響を考えると、飛び込み訪問はコロナ禍の前より下火になると言わざるを得ません。
私もさんざんやりましたが、二度とやりたくないほど大嫌いな営業手法です。
それでも私は、飛び込み訪問は営業手法の一つとして廃れることはなく、意外にも科学的な裏付けがある手法だと考えています。私は飛び込み訪問に関する単行本も書いており、それなりの経験とノウハウを持っています。
私は人間の心理を考えたりデータを使ったりして飛び込み訪問をしてきましたが、飛び込み訪問である以上、根本には根性と粘り強さが必要です。
積水ハウスでは現在でも、新入社員が入社早々から飛び込み訪問をやらされています。コロナ禍ではさすがに中断したと聞いていますが、入社後に徹底してやらせる支店が多いようです。
入社直後の新入社員は社用車をもらえないので、自転車を一生懸命こいで回ります。
私もしんどいやら情けないやら(笑)でしたが、仕事だと思ってやりました。
私は完全な新規の飛び込み訪問のほかに、先輩たちが放棄した顧客のカードを渡されて回ったこともあり、どちらにしても精神力がないと続く仕事ではありません。
個人宅への訪問営業は事前訪問予告で話を聞いてもらえる
闇雲に回っても成果が出なかった入社1年目の夏
積水ハウス入社1年目の夏、私は週に1回ほどのペースで飛び込み訪問をしていました。最初のころは文字どおりの闇雲訪問で、古い家を見つけては「こんにちは……積水ハウスと申しますが……」と繰り返すだけでした。
私には特別なトークや突破力があったわけでもないので、まったく成果は上がりませんでした。数をこなしたので話を聞いてくれる人はそこそこ出てきましたが、契約までは簡単に到達しません。
訪問の数をこなす行動量の確保と、週間単位の行動予定の立て方は、注文住宅の営業のコツと行動量で解説しています。
そこで私が考えたのが、事前訪問予告です。
仮に私が家を建てる計画を持っていたとしても、突然自宅に来た住宅営業に「はい、建築計画があります」とは話さないはずです。
一方で、事前に訪問を予告されていれば、お客さんは「せっかくだから少し話を聞いてみようかな」という気持ちになるかもしれないと私は考えました。
訪問3日前に200区画の団地へ投函した予告チラシ
私が予告チラシを配ったのは、分譲後25年たった分譲団地です。チラシには、だいたいこのような文面を印刷しました。
積水ハウスの森と申します。○○団地も分譲後25年経過し、周囲でも建て替えをされる方もぼつぼつといらっしゃるようです……(中略)……2~3日後に私が再びご訪問させていただきますので、家についてのご質問などがあればこの機会にぜひお聞きください。
詳しい文章はさすがに覚えていませんが、ほぼこの内容を印刷したことは間違いありません。
私はこのチラシを分譲地の戸数分だけ持ち、すべてのお宅に投函しました。
すべてといっても200区画ほどの団地なので、あっという間に配り終えました。
3日後の訪問50件のうち3件で深い話ができた
予告チラシを配ってから3日後、私は同じ分譲団地を訪問し、初日に50件ほどの訪問を何とかこなしました。50件のうち半分以上は不在か居留守でしたが、その中で3件と深い話ができたのです。
私の経験では、業界を問わず、50件ほどの飛び込み訪問で3件と濃い話ができることは普通ありません。
訪問予告を受けた個人宅はインターホンの反応から違った
「今後の金利はどうなるか」と聞いてきた奥さん
深い話ができた3件のうち、1件で応対に出た奥さんとのやり取りは、まとめるとこのような会話でした。
私「(チャイムを押し)積水ハウスの森と申しますが~」
奥様「は~い」
私「先日ですがポストにこれを投函して回ったのですが、○○さんのお宅でも建て替えの話などが出ているかな……と思いまして」
奥様「一つ聞いていいですか? 今後の金利はどうなるか知りたいんですよね」
飛び込み訪問の先で即座に質問が返ってくるのは、普通に考えたらあり得ない話です。私はこの後も雑談をはさみながら30分くらい話を続け、奥さんからは金利に始まり、積水ハウスの構造やインテリアまで事細かに聞かれました。
予告がなければ新築予定のある人ほど話さない
私がインターホン越しに「積水ハウスです」と名乗ったとき、3件のお客さんは声のトーンなどから、明らかに私の訪問を待っていた節がありました。
住宅営業がいきなり訪ねてきたら、普通のお客さんはまず「あなたは何を目的に来たの?」と聞き、家の話をよほど聞きたいのでなければドアを開けません。
金利の質問をした奥さんは、「ちょうど家を考えていたところだけど、チラシを見ると積水ハウスの営業マンが再訪してくるようだ。金利のことは気にかかっていたし、積水ハウスのことも少し聞けるから都合がいいかも。来たら質問をぶつけてみようかな」と考えていたのだと私は思います。
新築の予定がまったくないお客さんであれば、予告チラシは無視されます。
何かのはずみで応対に出たとしても、お客さんの返事は「家の予定はないのよね~」で終わりです。
逆に、新築をドンピシャのタイミングで検討しているお客さんでも、突然やって来た住宅会社の営業マンに家の予定をペラペラ話すとは思えません。
3件のお客さんはどれも新築の予定があり、同時に私の再訪を予期して、来たら話を聞こうと決めていたと私は推測しています。
そうでなければ、あれほどスムーズなやり取りにはなりません。
私が事前に訪問を告知したことが、会話をスムーズにしたわけです。
訪問予告チラシを撒いてから古い住宅に飛び込む手法で、リフォーム会社が受注を取った事例は、外壁リフォームの営業方法で解説しています。
新聞拡張団の元締めに教わった訪問予告のやり方
私は大学時代を新聞販売店で過ごし、新聞奨学生という制度で大学に通っていました。私の生活は、朝刊を配って学校に行き、帰宅後に夕刊を配るというものでした。
ある夏の日、私は朝刊を配達した後、あまりの疲労で1階の作業場に大の字で寝ていました。そこへ新聞拡張団の一団がやって来て、50がらみの元締めが私に声をかけてきました。
「お兄ちゃん、今日は学校さぼりか?」
「学校なんかの勉強よりも為になるから、俺の拡張についてくるか?」
その言葉に惹かれた私は、元締めに同行しました。
インターホン越しに「2〜3日後に来ます」とだけ伝えた
元締めと私は50件ほど回りましたが、元締めがインターホン越しに話していたのは、ほぼこのひと言だけでした。
「朝日新聞ですけど~野球のチケットや美術券や洗剤もたくさんありますから!あの~また2~3日後に来ますんで少し考えてくださいよ」
元締めはこう話すだけで、その日は新聞の購読契約を1件も取れませんでした。
3日後に断った奥さんたちのうち5件が顔を出した
ところが3日後に同じルートを回ると、インターホン越しに断った奥さんたちのうち5件が顔を出し、元締めは5件の契約を取りました。元締めは私にこう説明しました。
「訪問予告をして考える時間を与えるわけだ。3か月新聞変えるだけで洗剤やら野球のチケットもらえるんだったら得だろ?でも、こんな高級住宅街の奥様達は、新聞屋だと分かれば出てくるわけないじゃないか。簡単な人間の心理なんだよ」
私が住宅営業で使った事前訪問予告は、元締めがインターホン越しに伝えていた再訪の予告を、チラシに置き換えたものです。
再訪の予告をメールで伝えてから過去リスト客を訪ねる方法は、住宅営業のアポなし訪問で解説しています。
事前訪問予告を個人宅で試すときの段取り
建て替えが出始めた団地を選んで予告チラシを配る
私が予告チラシを配った団地は、分譲後25年が経過し、周囲でも建て替えがぼつぼつ出ていました。
住宅営業が予告チラシを配るエリアは、この団地のように建て替えが出始めた分譲地から選びます。
建て替え時期に入ったエリアの探し方は住宅営業の探客方法で解説しています。
インターホンでは予告チラシに触れて質問を待つ
住宅営業が再訪したときは、私がしたように、インターホンで会社名と名前を告げ、予告チラシの件で来たことを伝えて、質問がないかを尋ねます。
質問が出た家では、住宅営業がその場で答えながら話を広げます。
敷地調査のアポの取り方は住宅営業のアポ取りと他社との差別化で解説しています。
まとめ
個人宅への訪問営業は、根性と粘り強さが前提の、私が大嫌いな営業手法です。
それでも、2〜3日前にチラシで訪問を予告しておくと、新築の予定がある家から話を聞いてもらえます。
分譲後25年の団地では、私は50件の訪問で3件と深い話ができました。
新聞拡張団の元締めは、インターホン越しに断られた家から5件の契約を取っています。
建て替えが出始めた団地を選んで予告チラシを配り、再訪したらインターホンで予告チラシに触れて質問を待つのが、事前訪問予告の段取りです。
ぜひ本記事の事前訪問予告の体験談を参考に、次に回る個人宅のエリアで予告チラシを作ってみてください。



