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ご主人は日本人、奥さんは香港人のご夫妻がK工務店に決めた理由はどこにあったのか?

ご主人は日本人、奥さんは香港人のご夫妻がK工務店に決めた理由はどこにあったのか?

関東地方にある工務店とだけさせていただきます。

このコラムではK工務店と呼ばせて頂きますが、今から7年ほど前にK工務店で契約をしたある若いご夫妻の取材をしました。

ご主人は日本人ですが奥様は香港出身の方で、その当時は来日まもなく日本語はほぼ理解不能という状態でした。

結婚と同時に奥さんを日本に呼び寄せ、マイホームを建築すべくすぐに動き出してハウスメーカーを含めた4社を検討し、結果的にK工務店との契約に至りました。

この辺りの経緯を色々お伺いしたのですが、契約に至った決め手の中に何点か極めて興味深い内容がありましたので、今日のコラムではそこにフォーカスした内容を取り上げていきます。

ご主人は日本人、奥さんは香港人のご夫妻がK工務店に決めた理由はどこにあったのか?

この方をAさんとしておきましょう。

Aさんのマイホーム作りは住宅展示場を回ることから始まりました。

非常によくあるパターンのひとつですね。

具体的なメーカーも決まっていませんしハウスメーカーにするか地元の工務店にするかなど一切ノープランだったそうです。

いわゆる大手ハウスメーカーを5社ほど訪問し、その中の3社とすぐに商談を開始しました。

土地は既に所有していたので一刻も早く建築業者を決めてマイホームを建てたかったのです。

見学した5社から2社を省いた理由

私が最初に関心を持ったのはこれ。

5社見学したのですが具体的に商談を進めたのは3社でした。

つまり一回の見学で2社に対してNOという結論を下したわけです

価格と営業マンがその理由

2社のうち1社は明らかに価格が高すぎたとのこと。

メーカー名を聞けば 「あそこは確かに高いよね」とすぐに推測がつく会社です。

価格が高くて予算が合わないというのは察しがつきますが、もう一社の断った理由は営業マンの問題でした。

  • なんとなく鼻につく
  • 知識が曖昧だった
  • 軽い感じがした
  • 一方的に売り込まれた

この4点をAさんはあげたのです。

「なんとなく鼻につく」はどうしようもありませんね(笑)これは相性の問題と言いますか、その人の感性の問題ですので、ここでは解説しようがありません。

「知識が曖昧だった」これは文字通りです。

具体的にはこんなやり取りがあったそうです。

Aさん「床暖房を入れたいのですが30畳ほどのリビングに導入すると毎月いくらぐらいのお金がかかるんでしょうか?」
営 業「 使用頻度によってもちろん変わるわけですが・・・ 3,000円程度でいけるかもしれませんし・・・そうですね・・・一般的には5,000円から8,000円ぐらい。ちょっと激しく使うと1万円は当然超えてきますし、場合によってはもっとかかるかもしれません」

この会話でAさんはこのハウスメーカーに見切りをつけたということです。

確かにそうですよね。

Aさんの記憶も曖昧でしょうから話を多少誇張してる節もあるかもしれませんが、確かに嫌になる気持ちは分かります。

これでは一体いくらかかるのか全く分かりません。

言っていることは間違いないのでしょうが、もう少し具体的に絞り込んで金額を提示すべきです。

ちょっと前にTwitterで見かけたこんな話を思い出しました。

最近はテレビで全く見かけなくなりましたが、警視庁出身の元刑事の人物がある事件の犯人をプロファイリングした話です。

「犯人は比較的若めの10代から20代後半という線も考えられますが、目撃情報から考えると30代もしくは40代という線も捨て切れません。また目撃情報が違っていればそれ以上の50代あるいは60代という線も犯人像としては考えられるでしょう」

意味不明ですよね(笑)

お客さんはその場で決して反撃をしてこない

話を戻しましょう。

このようにお客さんからの問いかけに対して極めて曖昧な返答をしたり、あるいは一般の方から見ても「あなたわかってないよね?」と簡単に見透かされるような返答をする営業がたまにいます。

しかし、おかしいと思ったらその場で「今の話はおかしくありませんか?」とお客さんからすぐに突っ込んでくるのではないかと考えてはいませんか。

ここで見切られたハウスメーカーの営業マンも、自分が曖昧に答えたことをお客さんが見抜いていたことに気づかなかったのでしょう。

気づかないどころか「うまくごまかせたな・・・」とさえ思っていたと私は推測しています。

しかし実際には、お客さんであるAさんは完全な不信感をこの営業に持ったわけです。

工務店決定の最大理由は〇〇だった

ビジネスマン,勝利

5社のうち2社を切って残りの3社と具体的な 折衝に入ったAさんですが、最終的にはこの3社も断り、実際には小規模企業であった地元のK工務店との契約にいたりました。

なぜK工務店も見学したのか?

当初はハウスメーカー3社の中から決めようと思ったのですが、買い物途中で通った道で見かけたK工務店の住宅展示場がたまたま目に入ったらしいのです。

本当に偶然のことだったらしいのですが「せっかくだからハウスメーカー以外の住宅展示場も見てみようか」という軽い気持ちで見学をしたとのこと。

見学したところ、価格が安かったということも正直あったようですが、接客してくれた女性営業の対応が非常に素晴らしく、かつ心地よかったらしいのです。

さてAさんの奥さんは香港出身だと書きました。

さらには来日間もないということで日本語はほぼアウトということもすでにお話をしました。

この状況を考えるとハウスメーカーとの折衝は全てご主人が仕切って行なったと思われます。

打ち合わせの席には参加したとは思いますが、所々でご主人が奥さんに通訳でポイントを伝えたということが推察されます。

K工務店を見学した時も奥さんはほぼ一言も喋らず旦那さんとこの女性営業が話を進めるという状態だったとのこと。

そして、女性営業はアポイントをAさんと取ろうと努力をしたようで「プランを描いてみませんか」「土地を無料で診断させていただきましょうか」 と営業かけてきたそうです。

ただ、これらのアプローチにはAさんが乗らなかったので、女性営業は「他にも色々と資料がございますのでご自宅の近くを通った時にはお声をかけさせていただくかもしれませんので」と言って別れたのです。

翌々日の訪問で奥さんの心をわしづかみ

話をもったいぶってしまいましたが結論をお話しましょう。

K工務店の展示場を見学してから2日後のことでした。

接客をした女性営業が展示場接客では話足りなかった部分を資料にしてAさんの自宅まで届けに行ったのです。

もちろんアポイントは取っていません。

しかし、午後2時ぐらいにチャイムを鳴らすと奥さんは在宅で玄関口まで出てきました。

しかし、奥さんは日本語ができません。

一方の女性営業は英語も中国語も話せません。

平均的な英語力はあったようなのですが、さすがに家づくりのことを片言であっても英語で話すのは無理があります。

女性営業はとんでもない資料を作成していた

ところが彼女が作ってきた資料が秀逸なものだったのです。

日本語を一切書かずに全ての説明が英語になっていたとのこと。

奥さんはこれを見た瞬間に「わーこれはすごい!」と感激してその資料を受け取ったらしいのですが、さらにすごい資料を彼女は作っていました。

日本語が話せない奥さんに対して英語で書かれた質問シートを作っていたのです。

その一部をご紹介しましょう。

【見学をして何か気になったところや質問したい点はありましたか?】

実際には英語で書かれていたのですが、この質問に対する答えを複数準備して、それをやはり英語で示したのでした。

  1. キッチンが香港とは違って不安
  2. 照明が趣味に合わない
  3. シャワートイレは必要か?
  4. ローンを30年も払い続けるのが日本では一般的なのか?

きりがないので4点だけにしておきますが、質問を見せた後にその答えとなるようなものを全部で10パターンぐらい用意していたそうです。

これを見た奥さんはまずはじめに①を指で示したとのこと。

さすがにこれに返答するフリップの準備はしてなかったのですが、このような形で事前に用意した英語で書かれたフリップを見せて、その答えを手に彼女は帰りました。

帰る直前に再び奥さんに見せたフリップにはこう書いてあったそうです。

【今日のご質問に対する答えを作成してまた来ます】

これを見た奥さんは「ありがとうございます」と日本語で答えて笑顔で別れました。

ここからのやり取りは割愛しますが、決め手は英語で書かれたフリップを準備して女性営業が訪問したことだったのです。

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森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

積水ハウスと超零細工務店での営業経験を積み独立。現在は工務店のコンサルティングや、セミナー、執筆などをメイン業務に活動。現場見学会は企画から携わり、営業マンロープレも自らが設定を考え客役となり実施。国土交通省の認可組織である住活協リフォームにおいては全国加盟店向けに営業アドバイスなどを行う。 twitter・・https://twitter.com/iezukuri21 Instagram・・https://www.instagram.com/iezukuri21/ note・・https://note.com/91008082 youtube・・https://www.youtube.com/user/mo9100/videos

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