新卒住宅営業の教育|40人中20人以上が答えられなかった基本知識

新卒住宅営業の教育|40人中20人以上が答えられなかった基本知識

新卒の住宅営業社員に耐震等級やアフターサービスを何度も教えたのに、しばらくして質問すると答えが返ってきません。「ホームページに目を通しておくように」と指示を出しても、新卒社員は自社の資本金を聞かれて言葉に詰まります。

私が2021年度に担当した新卒者40名の研修では、2021年4月から何度も教えた耐震等級3の説明に、本記事を書く2週間前の研修で20人以上が答えられませんでした。新卒社員の知識は教えただけでは定着しないため、住宅会社はカタログとホームページの内容を毎月テストし、ロープレで口に出させることを1年間続ける必要があります。

本記事では、新卒研修の実例をもとに、新卒の住宅営業社員に基本知識を身に付けさせる教育方法を解説します。

新卒の住宅営業社員は1年教えても基本知識を覚えていない

住宅業界には、毎年4月に新入社員が入ってきます。30人、40人と大勢の新卒を迎える大規模な住宅会社もあれば、1人だけ採用する住宅会社もあります。

私は23年間、毎年欠かさずどこかの住宅会社の新卒研修を請け負ってきました。

2021年度は4社に関わり、最も小さな住宅会社の新卒者は2名、最も大きな住宅会社の新卒者は40名でした。

新卒者への教育は、住宅会社の規模の大小にかかわらず欠かせません。

新卒社員の教育で注意すべき点は多くありますが、その一つが基本的な知識の不足です。

耐震等級3を40人中20人以上が答えられなかった

「耐震等級3の説明をしてください」

耐震等級3にはいろいろな説明の切り口がありますが、ごく簡単に言えば「阪神淡路大震災の1.5倍の地震に耐えられる」構造です。消防署や警察署が基本的にこの構造になっている、という説明ももちろん正解です。

耐震等級をお客さんへどう伝えるかについては、耐震等級を上手にPRする方法で解説しています。

新卒者40名の研修で、私は2021年4月の段階から、耐震等級3のこの説明を何度も教えました。ところが2週間前の研修で私が新卒者に尋ねたところ、40人のうち20人以上が答えられませんでした。

カタログやホームページの数字も正答率が低い

耐震等級に限らず、ほかの知識でも同じことが起きます。

規模の大きな住宅会社には、会社の説明や工法を載せたきれいなカタログがあり、経費のかかるカタログを極力減らして情報をすべてホームページに集約している住宅会社もあります。

どちらの形でもかまいませんが、カタログやホームページに書いてある数字や仕様、細かな情報を新卒社員に聞くと、驚くほど正答率が低いのが実情です。

経営者の方には、何回教えても新卒社員の頭には基本的なことが入っていない可能性が高い、とまず考えておくことをすすめます。

新卒者が複数いれば、個人の能力や意欲の違いでかなりの差が出ます。

それでも経営者や教育担当者は、全員が覚えていないという前提に立ち、同じことを何回も繰り返し教え込んでください。

自社のホームページを読んでいない新卒住宅営業

経営者の方は、新卒社員に次のような質問を投げかけてみてください。

「会社の資本金はいくらか知っている?」「関連会社の〇〇って何やってるの?」「全国に展示場っていくつあるか知ってる?」

入社したばかりの新卒社員が答えられないのは当然です。ただ、上司が「目を通して覚えておくように」と指示を出し、しばらく経ってから聞いても、新卒社員は驚くほど答えられないのが現実です。

検討に入ったお客さんはホームページを読み込んでくる

私が常々話していることですが、具体的な検討に入ったお客さんは、住宅会社のホームページをじっくり読み込んできます。仮にお客さんが証券会社に勤めていれば、住宅会社の資本金や関連会社、株主構成といった情報に条件反射で目を通してくるはずです。

自己資本比率を聞かれて答えられなかった新卒の女性営業

実際にあった話です。

銀行に勤めるお客さんが展示場に来場し、新卒の女性営業が応対に出ました。

この住宅会社は自己資本比率が極めて高く、銀行員のお客さんはその情報を知ったうえで来場していました。

展示場を見学して席に着いたとき、次のような会話がありました。

お客様「ひとつだけ感心したことがあるんだけども、おたくの会社の自己資本比率ってものすごく高いよね?」

営業「えーっと……自己……資本……?」

女性営業には少し気の毒な話です。私も今でこそ偉そうに話していますが、積水ハウスに入社したときは自社の自己資本比率を知らず、そもそも自己資本比率という言葉の意味も知りませんでした。

ただ、私の時代と違い、今の住宅会社にはホームページがあり、会社概要のページを見れば財務状況や様々な資料が載っています。

この住宅会社もホームページに自己資本比率を載せていたので、銀行勤務のお客さんであれば真っ先にその数字に目が行きます。

自己資本比率は財務状況の目安の一つで、お客さんは数字が高ければ「この会社は良い経営をしている」と判断します。

このときは、お客さんが女性営業を新卒社員だと分かっていたので、「新入社員だとそこまではわからないよね(笑)」で話は済みました。

私も、この一件でお客さんが住宅会社にダメだという烙印を押すとは思いません。

逆に言えば、新卒社員が自社の自己資本比率を知っていて「弊社の財務状況は他社さんと比べて非常に堅牢なものです」と答えられれば、お客さんの印象はずいぶん良くなるでしょう。

新卒や若手の営業がお客さんの質問に実際どこまで答えられているかを確かめる方法は、住宅営業の接客の覆面調査で解説しています。

カタログとホームページを毎月テストする新卒研修の進め方

全部覚えさせて1ヶ月後にテストする

私は新卒社員に、会社にあるカタログと会社のホームページを全部覚えなさい、と指示を出します。

そのうえで、1ヶ月後にテストをするので全問正解を目指して勉強するように、とも伝えます。

私はこのテストを1年間、執拗に繰り返します。

最低限これを実行するだけで、新卒社員の頭にはかなりの部分が叩き込まれます。

肝心なのは、しつこく1年間続けることです。

Zoom研修で名指しの質問だけにした結果

耐震等級3の件で触れた新卒者40名の住宅会社では、2021年度に限って研修をすべてZoomで行いました。

4月に研修を始め、私は5月に1度だけ「ホームページとカタログを徹底的に覚えるように」と指示を出しました。

その後は、Zoom研修の途中で私が新卒社員を名指しし、「床材の仕様は何種類あるの」「アフターメンテナンスのチェックの頻度は」「会社の資本金は」「会社の設立は何年」などとランダムに聞きました。

リアル研修であれば、毎月の研修の開始前に問題用紙を配って確認できますが、Zoom研修ではこの方式がなかなか成り立ちません。

その結果が、耐震等級3の質問への正答率でした。

やはり同じことを繰り返し徹底的に確認すべきだと、私はこの1年で痛感しました。

展示場ロープレで知識の穴を見つける方法と確認テストの進め方は、新入社員の営業研修での確認テストで解説しています。

知識を固めた新卒社員に次に取り組ませる実地の訓練は、住宅営業の新卒研修での放棄リスト訪問で解説しています。

アフターサービスの説明はロープレで新卒社員に口に出させる

客役「あなたの会社のアフターサービスについて詳しく教えてください」

営業「弊社はお引渡し後まず3ヶ月の点検を行います。そしてその次は6ヶ月になりまして……」

アフターサービスは住宅会社の基本中の基本で、新入社員が真っ先に覚えなければいけない項目の一つです。ところが多くの住宅会社では、上司が次のように指示を出して終わりにしています。

「アフターサービスについてはちゃんと勉強しておけよ」

上司がこの指示を出すだけでは、新卒社員はなかなか覚えてくれません。

目で見て覚えただけの知識と、実際の場面を想定して口に出す説明とでは雲泥の差があります。

教育担当者は、どんなに簡単な内容でも、お客さんとの場面を再現したロールプレイング形式で新卒社員に喋らせる場を作ってください。

ロープレと並んで1年目に取り組ませる接客見学やカタログの読み込みは、住宅営業の新人研修で1年目にやることで解説しています。

雑談まで含めたロープレの進め方は、住宅営業ロープレの進め方で解説しています。

まとめ

新卒の住宅営業社員は、何度教えても基本的な知識が頭に入っていないと考えて、住宅会社は教育を組み立てる必要があります。2021年度の研修でも、Zoomで名指しの質問をするだけでは、耐震等級3の説明さえ新卒社員に定着しませんでした。

カタログとホームページを全部覚えさせて毎月テストし、それを1年間続けることと、覚えた内容をロープレで口に出させることが、お客さんの質問に答えられる新卒社員を育てる近道です。

ぜひ本記事の確認テストとロープレの進め方を参考に、自社の新卒社員の教育計画を見直してください。

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