収納提案で住宅会社が選ばれる理由|Jホームの事例と聞き方

住宅会社の広告には「〇〇ホームは収納提案能力が違います」「収納不足のお悩みを弊社が全て解決いたします」といった謳い文句が並びます。商談では、お客さんの大半が「新しい家には収納をたくさん作りたい」と口にします。
収納提案で支持される住宅会社は、収納の量ではなく使い勝手まで踏み込んだ提案をしています。収納の専門家を顧問に迎え、営業社員のヒアリングを鍛えているパワービルダーのJホームでは、私が会ったお客さん10人以上の全員が収納提案を褒めていました。
本記事では、収納提案を前面に打ち出して成功している住宅会社の仕組みと、工務店の住宅営業がすぐ使えるヒアリングの聞き方を解説します。
収納提案を打ち出す住宅会社が少ない理由
収納提案力を前面に打ち出す住宅会社は、ハウスメーカーから小さな工務店まで含めて無数にあります。それでも、収納を特に意識してアピールしていない会社のほうが多いと私は思います。
住宅会社が収納の重要さを認識していても打ち出さないのは、収納を殊更にアピールすると、それ相応の対応策や知識、知見がなければお客さんを満足させられないからです。
実際、お客さんから「収納をたくさん作りたい」と言われたとき、工務店は「分かりました。多めに収納を作ってみましょう」と返します。
しかし、この返答はあまりにも抽象的で、一般的過ぎます。
収納提案が量だけで終わった札幌の工務店の家
今から5年前に、私は札幌市に住む4人家族を取材したことがあります。地元の工務店で比較的安く家を建てたご一家で、収納について大変興味深い話を聞かせてくれました。
私は新築したご自宅まで伺い、写真も撮って自分の目で確かめましたが、収納がやたらめったらとある、非常に面白い間取りでした。ところが、奥さんは不満顔でした。
ご一家の家の収納は、確かに数こそ多かったものの、ただ容積をたくさん取っただけで、使い勝手という観点がきれいに抜け落ちていました。そのため、奥さんが何かをしまおうとすると、物をただ詰め込むか、意味もなく上に積み上げて強引に収めるしかない有様でした。
工務店の経営者の方は、自社が同じようなことをしているなら、大至急改善するべきです。ここまでひどくなくても、お客さんに満足してもらえる収納を提案できているかどうかは、一度考え直してよいと私は考えています。
小規模・中規模の工務店が収納提案で受注を伸ばした事例は、収納提案で業績を伸ばす工務店の工夫で解説しています。
パワービルダーJホームが収納提案で支持される仕組み
かなり知名度のある大きな住宅会社とだけしておきますが、規模も相当大きなパワービルダー(Jホーム)は、収納提案力を前面に押し出しています。
収納の専門家が一軒ずつ助言する体制
Jホームは収納専門の先生を招いて商品開発に参加してもらっており、さらに一軒一軒すべてにその先生のアドバイスが入る仕組みを整えています。大きな住宅会社だからできる体制で、規模を考えれば、先生だけでなく複数のお弟子さんが関わっているのは当然です。
Jホームのお客さんはその事情も汲んだうえで契約をしていて、実際の満足度も極めて高いのが現実です。収納については素人の私が提案の内容を見ても「なるほど、よく考えているな」と感心するものばかりで、提案がお客さんの満足度を高めているのがよく分かります。
専門家に情報を渡すのは営業社員のヒアリング
有名な先生を顧問にすれば成功するかといえば、そう簡単にはいきません。先生が折衝の初期から立ち会って収納の困りごとを聞き取れば素晴らしい提案ができますが、実際にお客さんの情報を吸い上げるのは営業社員です。
営業社員のヒアリング能力が低いと、的確な情報が収納の先生まで届きません。
そのためJホームでは、ヒアリングの訓練を徹底して行っています。
この社員教育には私も手を貸していて、住宅営業にとってヒアリング能力の高さがいかに重要かを、現場で教えながら実感しています。
収納の困りごとを引き出す聞き取りの手法は、写真を使った住宅営業のヒアリングで解説しています。
アイロン掛けの動線から組み立てる収納提案
ほとんどの家庭では、夫婦のどちらかがアイロン掛けをします。
アイロン掛けは気をつけないと火傷をしますし、アイロンが重くて手首が痛いという声も、夏場は顔周りが暑くてたまらないという声も私は耳にします。
そんなアイロン掛けを少しでも楽にするのが、収納と家事動線の工夫です。
アイロン掛けの動線で考える4つの位置
住宅営業がアイロン掛けの動線を考えるときは、次の4つの位置を頭に描きます。
- アイロンの収納場所
- 洗濯機の位置
- 乾燥機の位置
- 勝手口の位置
アイロンを収納するか置きっぱなしにするか、乾燥機があるかないかで答えは変わるので一概には言えませんが、4つの位置を描きながら考えるとプランの答えを出しやすくなります。一例として、表のような一連の動きが考えられます。
| 順番 | 家事の動き |
|---|---|
| 1 | 洗濯機で洗濯物を洗う |
| 2 | 勝手口から出て洗濯物を干す |
| 3 | 乾いた洗濯物を勝手口から取り込んで近くの台に置く |
| 4 | アイロンを収納している棚からアイロンを取り出す |
| 5 | 洗濯物の中からアイロン掛けの対象を選別する |
| 6 | アイロン掛けをする |
| 7 | 洗濯物をたたむ |
住宅会社は、この一連の動きをもとにプランニングします。
「今はどうしていますか?」と今の暮らしから聞く
私が住宅営業であれば、収納提案の場でお客さんにこう聞きます。
「今の生活でアイロンはどこに置いていますか? しまわずに、どこかに置きっぱなしにしていますか?」
「アイロン台はどこに置いてありますか?」
アイロンひとつでもこれだけ話が広がるので、営業社員が同じ発想で物ごとに今の暮らしを聞いていけば、質問の数はいくらでも広がります。こうしてヒアリングを深めていくと、営業社員は競合他社よりも内容の濃い話を聞けるようになります。
聞き取った暮らしを奥さんに響く提案として伝える方法は、住宅営業の収納提案トークで解説しています。
的確な収納提案が契約と満足度を高める理由
住宅会社が的確な収納提案をすると、契約に近づきます。
契約に近づくかどうかはお客さんの満足度と密接に関係していて、お客さんが収納に関して日々イライラしている気持ちを解消してあげることが大事なポイントです。
Jホームがわざわざ経費をかけてまで収納の専門家を顧問に迎えているのも、そのためです。
お客さんが感動するのは想像を超える提案
私はJホームのお客さん10人以上に会って話を伺ったことがありますが、会った全員が収納提案をべた褒めしていました。
お客さんの反応は、満足したというより感動したという表現に近いものでした。
お客さんが感動する収納提案は、お客さんが想像していた以上の提案をすることに尽きます。
押入れ一本分が半分で済むおもちゃ収納の例
たとえば、子どものおもちゃが片付かずに困っている家庭があったとします。その家庭は今の住まいで押入れ一つ程度の収納にやっとこさ収めているのに、収納のプロから提案を受けたら、押入れ半分程度で十分に収納できると分かったとしましょう。
お客さんは、子どものおもちゃをしまうには押入れ一本分の収納がどうしても必要だと思っていたわけです。
ところが、提案されたプランを見ると予定の半分で済むので、お客さんにとってはマジックと言ってもいい出来事になります。
目の前でプロのテーブルマジックを見せられれば誰でも驚くように、同じ驚きが収納提案でも起こります。
まとめ
収納提案で支持される住宅会社は、収納の量ではなく使い勝手まで提案しています。
札幌で取材した家のように容積だけを取った収納では、お客さんの不満は消えません。
Jホームのように専門家を顧問に迎えても、お客さんの情報を聞き取る営業社員のヒアリング能力で提案の質が決まります。
アイロン掛けの動線のように物ごとに「今はどうしていますか?」と聞いていけば、営業社員は競合他社より濃い話を聞けて、お客さんの想像を超える収納提案ができるようになります。
ぜひ本記事のJホームの事例とアイロン掛けの聞き方を参考に、自社の収納提案とヒアリングを見直してください。



