契約の決め手は住宅営業のレスポンス|お客さん20件取材の実話

価格もデザインも仕様もほとんど変わらない3社の中から、お客さんが1社を選んで契約を結ぶ場面があります。私がお客さん取材でその理由を聞くと、決め手は担当営業の「一生懸命さ」で、中身を掘り下げると質問への返答の早さ、つまりレスポンスの早さでした。
取材では、住宅展示場のキッチンでご主人を無視されて5分で候補から外された住宅会社の話や、InstagramやPinterestの写真で要望を伝えるお客さんの話も聞きました。本記事では、お客さん取材で分かった住宅会社の契約の決め手と、住宅営業が守るべき接客の基本を解説します。
住宅会社の契約の決め手は担当営業の「一生懸命さ」
私は工務店から大手ハウスメーカーまで幅広く営業指導をしていて、その中の重要な業務の一つがお客さんの取材です。
「顧客の声を聞け」という言い古された言葉がありますが、住宅会社の営業は結局ここに戻らざるを得ないと私は強く思っています。
私は毎月のようにお客さんの声を直接聞いているので、なんとなくではなく、そう断言します。
私は営業研修やコンサルティングよりも、この取材が好きです。お客さんに住宅会社を選んだ理由や営業社員への本音を聞くのは、仕事とは関係なく実に興味深いからです。
取材で最も多く聞く「あの人一生懸命やってくれるんですよ」
お客さんを取材していて私が最も多く耳にするのは、「あの人一生懸命やってくれるんですよ」という抽象的な言葉です。お客さんはその住宅会社を気に入って契約したのですから、担当者にこうした感情を抱くのは当たり前といえば当たり前の話です。
私が関心を持っているのは、一生懸命の具体的な項目です。
そのため、私は取材のたびに「一生懸命とは具体的にどういうことですか?」という切り口で聞いていきます。
取材で聞いた決め手を受注につなげる方法は、契約客取材で分かった住宅会社の決め手で解説しています。
四国の20代夫婦が3社から1社を選んだ決め手
直近の取材で聞いた、1組のご夫婦の実話を紹介します。
ご夫婦は20代中盤という若さで、四国のある県で住宅フランチャイズの加盟店と契約しました。
私はリモートで取材したので現地に足を運んでいませんが、建築場所は風光明媚なかなりの田舎と思ってもらえれば結構です。
ご夫婦は3社を検討しました。ご夫婦によると、3社とも値段はほぼ変わらず、デザインや仕様にも大差はなかったものの、最後は担当営業の一生懸命さで決めたとのことでした。
私「営業担当者は何が良かったですか」
奥様「何やるにも一生懸命な人なんですよね(笑)」
私「一生懸命さは、やはりポイントだと思いますが、具体的にその一生懸命さをぜひお聞きしたいのですが」
奥様「何って言われると困っちゃうんですけど……例えば私たちの質問に対する返答がびっくりするぐらい早かったですね」
私「いわゆるレスポンスが早いってやつですね」
契約の決め手になる住宅営業のレスポンスの早さ
1年間の取材で90%以上が挙げた答え
奥様の答えは、私の取材では定番の答えです。私はこの1年間で20件のお客さんを取材しましたが、そのうち90%以上のお客さんから同じ答えを聞きました。
私はこのコラムで「とにかく対応を早くしましょう」と過去に何回も書いてきましたが、取材を重ねても、レスポンスの早さが住宅営業の極めて重要な原理原則であることは動かしようのない事実です。
ハウスメーカーでも工務店でも、住宅会社が営業実績を上げたいなら、まずこの原理原則を守ることから始めるべきだと私は考えています。
受注を取るにはさまざまな要因が必要ですが、レスポンスの早さはそれらよりも優先する事項だと私は思います。
連絡の遅さで失注しないために住宅会社ができることは、住宅営業の連絡の速さで競合勝ちした事例で解説しています。
大規模住宅会社の社長と交わした会話
今年の1月、私はある大きな住宅会社の社長と、新年度の社員研修について意見交換をしていました。
私「社長の依頼で昨年8件のお客さん取材しましたけども、ちょっと前に報告したように、お客さんの評価ポイントは原理原則に集中するんですよね」
社長「そうですよね。ここ5、6年は研修も控えめにして、SNSに注力したり、その他のことに邁進してきて営業教育がおろそかになっていましたが、あらためてそれを痛感しましたよ」
社長はしみじみとこう話していましたが、営業担当者がお客さんに真剣に向き合うという基本中の基本を、おろそかにしている住宅会社が多い気がしてなりません。
もちろん、住宅会社はSNSやその他の追客ツールも最新のものをチェックして、ガンガン活用すべきだと私は思います。
ただ、SNSの活用と営業教育は、それはそれ、これはこれです。
候補から外す決め手になった住宅展示場のキッチン接客
6〜7社を見たご主人が5分で見切ったF社
別のお客さんの話です。
私はこのお客さんに昨年末に直接お会いして、話を伺いました。
私はいつものように住宅会社の決定要因を伺い、その流れで候補から外れた住宅会社の話も聞き込んでいきました。
私「6社か7社程度ご覧になったとのお話ですが、その中で一番話にならなかった住宅会社はどちらですか」
ご主人「F社ですね(笑)ここは展示場に行って最初の5分で終了という感じでした」
私「たった5分で見切ったというのはなかなか凄いですね」
ご主人「ぶらっと展示場に入って、まずはキッチンを見学したんですが、担当の営業さんが私を完全に無視して妻にだけ話しかけるんですよ」
私「キッチンの場合はどうしても営業は奥さんに行っちゃうんですよね」
ご主人「それを理解できないことはないんですが、今の時代は料理は女性がするものだというものでもないでしょう。それなのにこの営業さんは、完全な決め打ちで話をしているんですよ」
私「営業は男性でしたか?女性でしたか?」
ご主人「女性の営業さんでしたね。ただ、このことは妻もまったく同じ感覚を持っていたようで、展示場出た後に“今の人はダメだね”と2人とも同意見でした」
取材映像を見た営業社員が全員驚いた理由
このご主人の話には、私もかなり驚きました。私がこうした意見を聞いたのは初めてで、住宅営業はこれからこういったところにも気を配らなければいけないと感じた一件です。
LGBTの問題や歌舞伎町のジェンダーレストイレの問題など、社会は明らかに急変しています。F社の一件は、こうした社会の変化がお客さんの考えや行動にはっきり表れた好例だと私は考えています。
ただ、私はF社の女性営業にも同情します。私はその場の空気を知る由もありませんが、そのときの雰囲気によっては、私が接客しても奥さんだけに話しかけていたかもしれません。
私はこの取材映像を研修で営業社員に見せましたが、例外なくインパクトがあったようで、営業社員は全員驚いていました。キッチンでの奥さんへの接客の考え方は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
InstagramやPinterestの写真で要望を伝えるお客さん
スマホの写真で「こういうのできます?」と聞かれる商談
お客さんからも住宅会社からもよく聞くのが、お客さんがInstagramやPinterestに上がっている写真をスマホで見せて、住宅営業に質問してくるという話です。
「こんなのが良いんですけど」
「こういうのできます?」
「こんな階段にしたら標準よりいくらぐらい費用は上がるんですか」
お客さんがこうした質問をするのは、契約の前でも後でも変わりません。
お客さんにとって写真は実に都合のよい道具で、営業担当者に写真を見せるだけで、自分の希望やフィーリングを伝えられます。
この流れは当然予想できたことですが、私たち住宅業者にとっては、昔と比べて難儀な時代になったと私は思います。
福井県の建材会社の女性営業が受ける依頼
工務店やハウスメーカーを取引先とする建材会社の営業担当者も、同じ思いをしています。私は福井県の建材会社に勤める、ある女性営業からこんな話を聞きました。
「私は工務店さんを15社ほど担当しているのですが、工務店の社長からインスタグラムなどの写真を見せられて“この階段手すりってどこのメーカーか調べてよ”とお願いされるんですよ」
工務店の社長は、お客さんから同じことを聞かれているわけです。
社長は自分で調べる術がないので、建材会社の担当者に丸投げしています。
女性営業は、こうしたケースが急増したと嘆いていました。
それでも女性営業は20代半ばと若く、もらった写真をGoogleの画像検索にかけるなどして的確に商品を探し、社長に伝えているそうです。女性営業によると、そうすると社長にめちゃくちゃ喜んでもらえるとのことでした。
まとめ
住宅会社の契約の決め手として、お客さんが最も多く挙げるのは担当営業の一生懸命さで、その中身はレスポンスの早さです。キッチンでご主人を無視して5分で見切られたF社の例や、InstagramやPinterestの写真で質問してくるお客さんの例も、私が取材の中で聞いた住宅営業の現実です。
レスポンスの早さを含めた営業担当者の一生懸命さが土台にあって初めて、SNSや追客ツールといったほかの施策も成果につながります。経営者や営業責任者は、この順番を再認識すべきだと私は考えています。
ぜひ本記事のお客さん取材の実話を参考に、自社の営業担当者がお客さんの質問にどれだけ早く返答できているかを見直してください。



