受注テクニック

「営業さんの〇〇を評価しました」 “灯台下暗し”の典型事例

「営業さんの〇〇を評価しました」 “灯台下暗し”の典型事例

工務店から大手ハウスメーカーに至るまで、幅広く営業指導の仕事をしていますが、その中の重要業務である一つがお客さんの取材です。

「顧客の声を聞け」

言い古されたこの文言ですが、結局はここに戻らざるを得ないと私は強く思っています。

なんとなくそう思っているのではなく、自分でお客さんの声を毎月のように直接聞いているからこそ、このように断言するのです。

営業研修やコンサルティングよりも好きな仕事がこの取材。

住宅会社をどうして選んだかと理由を聞いたり、営業社員に対する本音などを聞くのは、仕事とは関係なく実に興味深いからです。

最近このネタを取り扱っていませんでしたが、久々に今回のコラムでは、お客さんの声から皆さんに色々お伝えしたいと思います。

「営業さんの〇〇を評価しました」 “灯台下暗し”の典型事例

「あの人一生懸命やってくれるんですよ」

抽象的な言葉ですが、お客さん取材していて最も多く耳にするのがこの表現です。

その会社を気に入って契約したのですから、担当者に対してこのような感情を抱くのは当たり前といえば当たり前の話でしょう。

毎回の取材でも必ず出てくる話ですが、私が関心を持っているのは一生懸命の具体的な項目です。

「一生懸命とは具体的にどういうことですか?」

取材の中で私は必ずこのような切り口で聞いていきますが、直近の取材であった実話を少しご紹介しましょう。

20代中盤という非常に若いご夫婦でしたが、ある住宅フランチャイズの会社と契約をしました。

場所は四国のある県。

取材自体はリモートで行ったので私は四国に足を運んでいませんが、 建築場所は風光明媚なかなりの田舎と思ってもらえれば結構です。

このご夫婦は3社を検討したのですが、最終的には某フランチャイズの加盟店と契約しました。

3社とも値段もほぼ変わらず、デザイン性やその仕様に関しても、大差なかったとご夫婦おっしゃっていましたが、最終的には担当営業マンの一生懸命さで決めたとのこと。

私 「営業担当者は何が良かったですか」
奥様「何やるにも一生懸命な人なんですよね(笑)」
私 「一生懸命さは、やはりポイントだと思いますが、具体的にその一生懸命さをぜひお聞きしたいのですが」
奥様「何って言われると困っちゃうんですけど・・・例えば私たちの質問に対する返答がびっくりするぐらい早かったですね」
私 「いわゆるレスポンスが早いってやつですね」

定番の答えです。

この一年間で20件ものお客さんを私は取材したのですが、90%以上のお客さんから同じ答えを耳にしました。

とにかく対応を早くしましょう、と過去にもこのコラムで同じようなことを何回も書いてきましたが、やはりこれが極めて重要なポイントであることは動かしようのない事実なのです。

ハウスメーカーであろうが工務店であろうが同じですが、会社の営業実績を上げたいならば、この原理原則をしっかりと守ることをまず励行してはいかがでしょうか。

受注を取るにはさまざまな要因が必要となってきますが、それよりも優先する事項だと私は思います。

大規模住宅会社の社長と交わしたこんな会話

今年の1月ですが新年度の社員研修について、ある大きな住宅会社の社長と意見交換をしていました。

私 「社長の依頼で昨年8件のお客さん取材しましたけども、ちょっと前に報告したように、お客さんの評価ポイントは原理原則に集中するんですよね」
社長「そうですよね。ここ5、6年は研修も控えめにして、SNSに注力したり、その他のことに邁進してきて営業教育がおろそかになっていましたが、あらためてそれを痛感しましたよ」

こちらの社長がしみじみとこうおっしゃっていましたが、営業担当者がお客さんに対して真剣に向き合うという、基本中の基本をおろそかにしている企業が多い気がしてなりません。

もちろん、SNSやその他の追客ツールは最新のものをチェックして、ガンガン活用すべきだと私は思います。

それはそれ、これはこれです。

こんなお客さんもいました

キッチン

別の方の話をしましょう。

このお客さんは、昨年末にリアルでお会いして話を伺った方です。

いつものように住宅会社の決定要因お伺いしたのですが、その流れでダメだった住宅会社の話も聞き込んでいきました。

私  「6社か7社程度ご覧になったとのお話ですが、その中で一番話にならなかった住宅会社はどちらですか」
ご主人「F社ですね(笑)ここは展示場に行って最初の5分で終了という感じでした」
私  「たった5分で見切ったというのはなかなか凄いですね」
ご主人「ぶらっと展示場に入って、まずはキッチンを見学したんですが、 担当の営業さんが私を完全に無視して妻にだけ話しかけるんですよ」
私  「キッチンの場合はどうしても営業は奥さんに行っちゃうんですよね」
ご主人「それを理解できないことはないんですが、今の時代は料理は女性がするものだというものでもないでしょう。それなのにこの営業さんは、完全な決め打ちで話をしているんですよ」
私  「営業は男性でしたか?女性でしたか?」
ご主人「女性の営業さんでしたね。ただ、このことは妻もまったく同じ感覚を持っていたようで、展示場出た後に“今の人はダメだね”と2人とも同意見でした」

こんなケースもあるのです。

これには私もかなり驚きました。

さすがにこのような意見を聞くのは初めてでしたが、今後の営業はこういったところにも気を配らなくてはいけないのだな、と感じた一件です。

LGBT問題や歌舞伎町のジェンダーレストイレの問題など、明らかに社会が急変しているのは皆さんも肌で感じているとおりです。

このような社会的な背景が、お客さんの考えや行動にも如実に表れた好例と言えるでしょう。

でも、この女性営業には私もさすがに同情します。

その場の空気を私は知る由もありませんが、その時の雰囲気によっては、私が接客しても奥さんだけに話しかけていたかもしれません。

この内容は取材映像を使って営業社員に研修で見せましたが、例外なくインパクトがあったようで全員が驚いていましたね。

Instagramとpinterest には要注意

お客さんからも住宅会社側からも聞く話ですが、お客さんがInstagramやpinterestに上がっている写真をスマホで見せて

「こんなのが良いんですけど」
「こういうのできます?」
「こんな階段にしたら標準よりいくらぐらい費用は上がるんですか」

契約の前後は関係ありません。

これらの写真はお客さんにとって実に都合よく、営業担当者に写真を見せるだけで、自分の希望やフィーリングを伝えられるのです。

この流れは当然予想できたわけですが、私たち住宅業者にとっては昔と比べると難儀な時代になったと思います。

建材会社の営業担当者も四苦八苦

皆さん方をお客さんとする建材会社の営業担当者も同じ思いです。

福井県の建材会社に勤める、ある女性営業からこんな話を聞きました。

「私は工務店さんを15社ほど担当しているのですが、工務店の社長からインスタグラムなどの写真を見せられて“この階段手すりって どこのメーカーか調べてよ” とお願いされるんですよ(笑)」

これは工務店の社長が、お客さんから同じことを聞かれているわけです。

自分で調べる術がないので、それを建材会社の担当者に丸投げしているということ。

こんなケースが急増したと彼女は嘆いていましたね。

ただ彼女は20代半ばと若いので、もらった映像をgoogleの画像検索をするなどして的確に商品を探し社長に伝えるそうですが、めちゃくちゃ喜んでもらえると言っていました。

まとめ

レスポンスを早くするという基本的な話だけを書こうと思っていましたが、キッチンで奥さんだけに話しかけるのが嫌だったなど、かなり特殊な例もせっかくなのでご紹介しました。

しかし、表題に書いたように、私が今回伝えたかったのはレスポンスが早いことなどを含めた営業担当者の一生懸命さです。

このことが土台にあることを前提として、その他の施策が生きてくることを、経営者や営業責任者は再認識すべきでしょう。

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森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

積水ハウスと超零細工務店での営業経験を積み独立。現在は工務店のコンサルティングや、セミナー、執筆などをメイン業務に活動。現場見学会は企画から携わり、営業マンロープレも自らが設定を考え客役となり実施。国土交通省の認可組織である住活協リフォームにおいては全国加盟店向けに営業アドバイスなどを行う。 twitter・・https://twitter.com/iezukuri21 Instagram・・https://www.instagram.com/iezukuri21/ note・・https://note.com/91008082 youtube・・https://www.youtube.com/user/mo9100/videos

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