工務店の集客は第三者の評価で変わる?掲示板と動画の活用法

まったく新規のお客さんにとって、小さな工務店に問い合わせるにはどうしても勇気がいります。
その背中を押すのが、利害関係のない第三者の評価です。
私がお客さんに住宅会社を選んだきっかけを取材すると、半分程度の人がセカンドオピニオンを聞いて決めようと思ったと答えます。
誰もが知っている住宅メーカーは、この仕組みを意図的に集客に使っています。
本記事では、大手ハウスメーカーと住宅系ユーチューバーの関係と、小規模な工務店が掲示板と動画で第三者の評価を集める方法を解説します。
大手ハウスメーカーが集客に使う第三者の評価
エンドユーザー向けユーチューブに届くタイアップの打診
私は住宅業界でコンサルタントとして30年近く活動してきました。研修やコンサルティングが通常の業務ですが、このコラムのような連載やユーチューブでの発信も定期的に行っています。
私はエンドユーザー向けのユーチューブも運営しており、そのチャンネルを見た住宅会社が何社か私に連絡をしてきました。住宅会社の要望を簡単に言うと、次のような内容です。
「タイアップできないか?」
連絡をくれた会社名は申し上げられませんが、すべてが誰もが知っている住宅メーカーでした。今のところ私はこのチャンネルに力を入れているわけではないので、期待に沿えないと言ってお断りしています。
登録者数が2,300人程度の弱小チャンネルを運営する私にさえ連絡が来るほどです。数万人の登録者を抱える住宅系ユーチューバーには、多くの住宅会社からアプローチがあるはずです。
セカンドオピニオンが自社の発信より信頼される理由
住宅のセカンドオピニオンとは、その住宅会社と利益関係のない人から住宅についてのアドバイスを聞くことです。
たとえば、私が有名住宅会社のAホームについて動画を作ったとします。私はその動画で極端な持ち上げ方はしないものの、基本的には「この会社を選んで損はない」という内容に仕上げます。
Aホームが自社のユーチューブ動画やホームページで自社をアピールするのは当たり前なので、お客さんへの訴求力はある意味で強くありません。ところが、完全な部外者である私がAホームをなかなかいい会社だと言えば、その評価の信頼性は非常に高くなります。
これはごく当たり前の話ですが、大手ハウスメーカーはこの仕組みを意図的に、かつ積極的に集客に使おうと動いています。
住宅系ユーチューバーと住宅会社が組む集客モデル
パワービルダーの社長に届いた住宅系ユーチューバーの企画
一定以上の登録者を持つ住宅系ユーチューバーは、住宅業界の中では有名人です。そのような人物には住宅会社側からもアプローチしますが、ユーチューバー本人が住宅会社に企画を持ち込むこともしばしばあります。
私は、ある大きなパワービルダーの社長とこんな話をしました。
社長「〇〇という住宅ユーチューバーを森さんは知っています?」
私「もちろん知っていますよ。彼はかなり有名ですからね」
社長「この前うちに連絡があって企画を持ってきましたよ」
私はこの後も社長から事細かに話を聞きましたが、こうした動き自体は秘密でもなく、後ろめたいことでもありません。住宅会社にとっても住宅系ユーチューバーにとっても、ウィンウィンになるれっきとしたビジネスモデルです。
地域の工務店をグループに入れるユーチューバー
大手ハウスメーカーを相手に活動するユーチューバーがいる一方で、地域の工務店を自分のグループに入れてうまく活動しているユーチューバーもいます。
このタイプのユーチューバーにはエンドユーザーから絶大な信頼を得ている人も多くいます。
お客さんがそのユーチューバーに相談し、推薦された工務店と契約すると、ユーチューバーにバックマージンが入る仕組みです。
ごく一部の特殊な事例であれば問題はありませんが、この枠組みは住宅業界にじわじわと広がりつつあります。そう考えると、こうした枠組みに参加していない住宅会社や、接点すらない住宅会社は、何かしらの手を打つべきだと私は考えます。
小規模な工務店にこそ第三者の評価が必要な理由
積水ハウスであれば、ある意味で第三者の評価は必要ないかもしれません。どんな業種でも、有名企業は大企業としての信頼性を最初から持っているので、第三者の評価を気にしなくても済むからです。
ところが、小規模な工務店はそうはいきません。
友人からの紹介であれば話は違いますが、まったく新規のお客さんがあなたの会社と接触するには、どうしても勇気がいります。
そうしたときにセカンドオピニオンのような存在の後押しがあれば、お客さんはホームページから問い合わせてみよう、事務所を訪ねてみようという気持ちになります。
友人からの紹介で来るお客さんを増やす方法は、紹介営業のコツで解説しています。
私はお客さんの取材を常に続けており、2024年度の一年間は少なくとも100件のお客さんを取材することがすでに決まっています。取材でその会社を選んだ理由やきっかけを聞くと、半分程度のお客さんから、本記事で触れたセカンドオピニオンを聞いて決めようと思ったという答えが返ってきます。
第三者の評価を商談で生かす方法は、第三者のアンケートを使う住宅営業のデータ活用で解説しています。
口コミ掲示板で第三者の評価を集める方法
掲示板が見つからない工務店は自分で立ち上げる
口コミ掲示板の話をすると、小さな工務店の経営者からはこんな声が聞こえてきそうです。
「うちみたいな小さな会社ではみんなが書き込むような掲示板がそもそもないから関係ないよ」
たとえば検索エンジンで「積水ハウス 掲示板 口コミ」と打てば、該当する掲示板が複数出てきます。積水ハウスは有名で大きな会社なので、誰かがスレッドを立てており、このような検索結果になります。
あなたが従業員10人、社歴5年の工務店を経営しているとしましょう。
同じように検索をかけても、該当する掲示板が出てくるとは思えません。
その場合は、工務店が自分で掲示板を立ち上げればよいのです。
最初の口コミは仲のいいお施主さんにお願いして書いてもらい、とにかく掲示板をスタートさせます。
引き渡し済みのお客さん全員に書き込みをお願いする
ただし、いつまでたっても新しい書き込みがなければ、掲示板を作った意味がありません。
その場合、工務店は5年前のお客さんも含め、すべてのお客さんに書き込みをお願いしてみます。
小さな営繕工事のお客さんでも構いません。
営繕工事などを通じてOB施主とつながり続ける方法は、工務店のリフォーム受注の進め方で解説しています。
お客さんの中には嫌味を書く人がいるかもしれませんが、その程度のマイナスの書き込みがあった方が掲示板に信ぴょう性が出ます。こうしてお願いすれば、書き込みの10や20はなんとか集まり、掲示板としての体裁を保てます。
掲示板に書かれたマイナスの書き込みへの向き合い方は、悪い口コミへの住宅会社の対応で解説しています。
大会社の場合は、頼まなくてもお客さんが思いの丈をどんどん掲示板に書き込みます。
内容の良し悪しはあっても書き込みが続くので、家を考えているお客さんがますますその掲示板に集まってきます。
一方、小規模な工務店の掲示板は放っておいても伸びません。
そのため、工務店はことあるごとにお客さんに書き込みをお願いし、掲示板を伸ばす努力を続ける必要があります。
社名で検索したお客さんが見つける掲示板
地域で家を考えているお客さんが「〇〇工務店 口コミ 掲示板」と検索し、あなたの工務店の掲示板がヒットしたとしましょう。
お客さんは、小さな会社だから掲示板などないだろうと思っていたところで、20件、30件と書き込みのある掲示板を目にします。
お客さんが中身をある程度読んで「そんなに悪そうな会社じゃないな」と感じれば、あなたの会社に連絡してくる可能性は高まります。
タイアップ動画を住宅系ユーチューバーに打診する
ユーチューブでは、いろいろな人が住宅系の動画を出しています。誰に声をかけるかはあなたのフィーリング次第ですが、この人ならいいかなと思う人がいれば、タイアップで動画を作ってもらえないかと問い合わせてください。
作業の価格は、そのユーチューバーが動画をどの程度作り込んでいるかによってかなり上下すると思いますが、経費を聞くだけなら無料です。
悩んでいるお客さんがその動画を見てあなたの会社に決めてくれれば、こんなに安い投資はありません。
また、動画は基本的に半永久的にネット上に残り続けるので、宣伝効果としては抜群です。
タイアップに頼らず自社で動画を発信する進め方は、社長が発信する工務店の動画集客で解説しています。
まとめ
大手ハウスメーカーは、住宅系ユーチューバーとのタイアップを通じて、利害関係のない第三者の評価を集客に使っています。大企業ほどの信頼を最初から持たない小規模な工務店こそ、自社で立ち上げた掲示板や住宅系ユーチューバーの動画で第三者の評価をつくる必要があります。
この他にもセカンドオピニオンにあたるものはいろいろありますが、お客さんが利害関係のない第三者の意見を重要視することだけは頭に叩き込んでください。
ぜひ本記事の掲示板と動画の活用法を参考に、自社の社名で検索したお客さんが何を見つけるかを確かめてください。



