分譲地の競合物件に勝つ住宅営業の対策|客役調査と3つの比較事例

分譲地の競合物件に勝つ住宅営業の対策|客役調査と3つの比較事例

競合物件への対策は、知人や偵察業者に客役で競合分譲地を訪問してもらい、相手の営業マンが自社の弱みをどう攻撃しているかを調べることから始まります。耐震等級3を取っていないある住宅会社は、この潜入調査で競合の攻撃トークをつかみ、反論トークを準備しました。

本記事では、積水ハウス時代に分譲地の販売を任された私の経験をもとに、競合分譲地の調べ方と、仕様の違いを営業トークに変える方法を解説します。

分譲住宅の営業で競合物件対策が欠かせない理由

住宅営業は、大きく注文住宅と分譲住宅に分かれます。両方を扱う住宅会社もありますが、基本的にはどちらかに絞った営業展開をしているのが一般的で、両方をこなせる営業マンは数が少ないのが現状です。

私は積水ハウス出身で、基本的には注文住宅の営業畑を歩んできました。

そんな私が分譲地の販売担当を任されたときは、最初は戸惑いました。

分譲と注文とでは、販売手法も話の速度も全く違うのです。

項目注文住宅分譲住宅
売るものお客さんの要望に合わせた家(住宅展示場はあくまで参考)物件そのもの
プランニング要望をすべてヒアリングし、予算を伺いながら希望の間取りに寄せる要望を聞いてプランニングする作業がない
話の速度分譲住宅より遅い速く、即断即決を促す場面もある

分譲地の販売では、往々にして近隣に価格帯の似た競合分譲地があり、そことの激しい競争にさらされます。分譲住宅はお客さんの要望に合わせて間取りを変えられないため、勝負は物件同士の比較になり、住宅営業は競合物件を知ったうえで説明を組み立てる必要があります。

競合分譲地に客役で訪問して相手の営業トークを調べる

どんな戦いでも同じですが、まずは敵を知る必要があります。

競合分譲地を知るには、お客さんのふりをして訪問し、相手の住宅営業が実際にどんな接客をしているかを見るのが鉄板で、私はこれを欠かせない調査と考えています。

身分を明かして見学する方法にも一理ありますが、競合の営業マンはお客さんに対するときとは違う対応をするので、調査の威力は半減します。

知人や友人、偵察業者に客役を頼む

自社の営業マンが顔をさらして競合分譲地に行くと、トラブルにもなりかねません。

そのため、客役は知人や友人、業者に頼みます。

実際に、こうした偵察活動を請け負う業者は存在し、住宅会社に売り込みに来ることさえあります。

ただ、あまりおおっぴらにできない部分もあるので、知る人ぞ知る業者というところでしょうか。

客役の設定と質問事項を事前に決めておく

全くのノープランで訪問する方法もありますが、客役の設定と質問はある程度決めておいた方がいいです。事前に決めておく項目には、次のようなものがあります。

  • 客役の職業
  • 家族構成
  • 希望するプラン
  • 競合の営業マンにする質問

なかでも、自社の弱みといえるポイントは必ず客役から聞いてもらいます。

耐震等級3を突かれた住宅会社の潜入調査レポート

私は、ある業者が潜入調査したレポートを見たことがあります。レポートには、調査の狙いが書かれていました。

「○○社(自社)は耐震等級3を取っていない。〇〇社(調査先)はそれを知っているはずなので、必ず攻撃してくるはず。現場ではどんなトークを使っているのか」

業者が客役として潜入して探ったところ、競合の営業マンはまさに予想どおりの対応をしてきました。レポートによると、その営業マンは「今の時代に耐震等級3を取っていないのはおかしい」くらいのことを、当てつけのように熱弁してきたそうです。

調査を依頼した住宅会社は、この結果を受けて、耐震等級を取っていないことを突かれた場合の反論トークを徹底的に準備しました。同じように、この住宅会社は様々な角度から質問トークを考えて、自社の戦略にしたのです。

競合の主張を想定して反論の資料とトークを事前に用意する方法は、住宅営業のカウンタートークで解説しています。

自社と競合物件の違いを仕様ごとに理論武装する

あなたが勤務する分譲住宅会社をA社、競合する分譲住宅会社をB社とします。

両社とも最寄りの駅からほぼ同じ位置にあり、住宅価格もほぼ同じだとすると、お客さんは間取りのほか、耐震構造、デザイン、アフターサービスなどで比べるしかありません。

そのため、A社の住宅営業はこうした比較項目を考えられる限り挙げ、B社より有利なポイントを一つずつ用意していきます。

IHクッキングヒーターとガスコンロの比較

たとえばA社のキッチンがIHクッキングヒーターで、B社がガスコンロだとすれば、A社の住宅営業はIHクッキングヒーターの良さを考え抜きます。

  • 水を沸かす速度がガスより速い
  • 火がないので、袖に燃え移る万が一のリスクがない
  • 火による上昇気流が起こりにくいので、夏場も比較的快適
  • 心地よい風が吹く春や秋の日に、勝手口を開けて空気を取り入れられる(ガスコンロだと、風が強い日に勝手口を開けると風が吹き込んで火が暴れる)
  • 掃除がしやすい

このように、A社の住宅営業は競合の仕様より有利なポイントを挙げて理論武装します。B社の営業マンも「ガスコンロの方が優れている」とアピールしてくると考えられるので、A社はそれを上回る説明を準備しておきます。

競合他社がお客さんに出した資料を回収し、相手を上回る資料を出す方法は、住宅営業で競合に勝つ方法で解説しています。

和室がある物件と和室がない物件の比較

A社には和室があり、B社には和室がないという分かりやすい違いもあります。A社の住宅営業であれば、和室が家に欠かせないことをアピールします。

  • 赤ちゃんがいる場合、畳があるとそこに寝かせられる
  • 洗濯物を外から取り込んだ後、畳の上ならそのまま置く気になる
  • 新築直後だけだが、イグサの香りがするのは心地よい
  • 「ゴロンとしたいな」と思ったときに、そのまま横になれる
  • すべて洋室にするより、和室があれば違うテイストを楽しめる
  • 親が来たときなど、和室があると何かと便利
  • 将来的に仏壇を買うとき、置き場に困らない
  • 洋室だと収納はクローゼットになるが、和室なら押し入れになる(布団などは押し入れの方がしっくりくるケースがある)

競合分譲地に和室がないと分かれば、A社の住宅営業は和室の良さを徹底的にお客さんに説明します。

南接道の競合物件に北接道の分譲地で対抗する方法

土地の条件で比べられることもあります。

A社の土地は北接道、B社の土地は南接道だとします。

一般的には南向きの家が好まれるので、B社が南向きの家だと、A社は防戦に回るケースが多くなります。

それでも、A社の住宅営業はB社より有利なポイントを見つけておきます。

自社に不利な点を資料で先回りして伝える進め方は、地場工務店に勝った住宅営業の競合対策で解説しています。

  • 南接道の家はリビングが道路側の南に面するので、道行く人の視線が気になる
  • 基本的に家の南面に玄関が来るので、その分だけ南に面する居室の面積が減る
  • 駐車場を南面に取る形になるので、家の前に駐車場が来て邪魔になるケースもある
  • 北接道は価格が抑えられているケースが多いので、問題がなければお買い得

南接道が好まれる以上、北接道の分譲地が防戦になる状況は変わりませんが、A社の住宅営業は少しでも有利なポイントを事前に理論武装しておきます。立地をお客さんにどう伝えるかは、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。

まとめ

分譲住宅は物件そのものを売るため、近隣に価格帯の似た競合分譲地があると、勝負は物件同士の比較になります。競合物件への対策は、知人や友人、偵察業者に客役で訪問してもらい、自社の弱みがどう攻撃されているかを調べるところから始まります。

競合のトークが分かったら、IHクッキングヒーターとガスコンロ、和室の有無、北接道と南接道のように、仕様や土地の違いごとに自社が有利になるポイントを挙げて理論武装します。北接道のように防戦になりやすい条件でも、少しでも有利なポイントを事前に用意しておきます。

ぜひ本記事の競合分譲地の調べ方と3つの比較事例を参考に、自社の分譲地と競合物件の違いを項目ごとに書き出してください。

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