住宅展示場なしの工務店営業|展示場に代わる3つの見せ方

大手ハウスメーカーの住宅営業は、自社の住宅展示場やショールームにお客さんを案内できます。
工事中の現場や、すでに人が住んでいるお宅まで見せられます。
一方、小規模工務店には、お客さんに見せる住宅展示場がありません。
住宅展示場がなくても、小規模工務店は現場見学会、SNSでの発信、ホームページの3つを工夫すれば、大手にかなりの部分まで対抗できます。
本記事では、住宅展示場なしで営業する工務店が、展示場の代わりに何をどう見せればよいかを解説します。
住宅展示場を持つ大手ハウスメーカーと工務店の営業の差
大手ハウスメーカーは見せる場所に困らない
大手ハウスメーカーは、自社の住宅展示場があるのは当然で、別にショールームや何らかの施設を持っているので、お客さんを連れて行く場所に困りません。
地域のパワービルダーも同じです。
大手は同時に着工している件数も多いので、営業社員はお客さんが希望する進み具合の現場を簡単に選んで見てもらえます。
引き渡し棟数も多いため、すでにお客さんが住んでいるお宅の中を見てもらうチャンスも、大手のほうが圧倒的に多くなります。
商談を考えれば、こうした環境は大手にとってもちろん有利です。それでも小規模工務店も工夫をすればかなりの部分で対抗できると私は考えています。
住宅展示場がない不利は20年前より小さくなった
小規模工務店が住宅展示場を持っているのはまれなことです。展示場の維持には多額の経費がかかりますし、展示場を建てたからといって、お客さんが次から次へとやってくるわけでもありません。
また、20年前ならいざ知らず、今は大手ハウスメーカーも住宅総合展示場から続々と撤退しています。
そう考えると、展示場がないことを工務店が悲観する理由は、以前と比べてずいぶん小さくなったと私は思っています。
ただし、経費面を度外視すれば、お客さんを呼べる住宅展示場があるほうが有利なのも事実です。
住宅展示場の代わりに小規模工務店が使える手段は、現場見学会、SNS、ホームページの3つです。
| 方法 | お客さんに見せられるもの | 私が考える注意点 |
|---|---|---|
| 現場見学会 | 実物の家 | 家を貸してもらうお願いは契約時にする |
| SNS(YouTubeなど) | 動画や日々の発信 | 作り込みより動画の内容とPR方法 |
| ホームページ | 代表者のあいさつ、施工写真 | お客さんが写り込んだ写真を使う |
現場見学会で住宅展示場の代わりに実物を見せる
現場見学会は古典的な手法ですが、住宅展示場に対抗するには、実物を見せることが最大の効果を発揮します。
住宅展示場を持っているハウスメーカーでさえ、念押しのために現場見学会を重視しています。
展示場のない工務店にとっては、現場見学会はなおさら欠かせない手段です。
着工棟数が少ない工務店は見学会の数に上限がある
小規模工務店は年間の着工数が少ないので、開催できる現場見学会の数にも自然と上限が決まります。
年間5棟を施工する工務店であれば、どう頑張っても現場見学会は5か所が上限です。
しかも、見学会のために家を貸してくれるお客さんの割合は以前より減ってきたので、年間5棟の着工では、下手をすると一回も開催できない危険性もあります。
見学会の協力をお願いするタイミングは契約時の一択
一回も開けない事態を避けるには、工務店はお客さんの見学会承諾率を上げるしかありません。見学会の協力をお願いするタイミングは、建築請負契約を結ぶときの一択だと私は思っています。
契約直前に施主に家を借りる約束を取る方法と、上棟や基礎打設など工事中に開ける見学会は、工務店の現場見学会の開催方法で解説しています。
工務店でよくあるのは、引き渡しの直前になってから慌てて動くケースです。
「そうだ、練馬区の加藤さんって来月引き渡しじゃない?現場見学会できないかお願いしてくれないかな」
お客さんは自分の家が見学会に使われることなど意識していませんので、直前に言われても、なかなか素直に「はい」とは言えません。見学会に来場したお客さんへの接し方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
展示場なしでも営業の接点を作れるSNSとYouTube
20年前には無くて今あるものといえば、SNSです。
最近では小規模工務店もどんどん発信を始めるようになりましたし、うまく運用すれば大きな成果が出ることは、私が説明するまでもありません。
SNSの運用方法の詳しい解説は別の機会に譲りますが、工務店の皆さまには、とにかくSNSに積極的に取り組んでほしいと考えています。
私がお手伝いしている会社の中には、一人親方や大工さんのYouTubeもあります。
20年以上前から面識のある大工さんに、昨年私が声をかけたところ、大工さんは「面白いね!実はYoutubeのことは気になっていたんだよね」と乗り気で、さっそくスタートしました。
よかったらその大工さんのYouTubeチャンネルを覗いてみてください。
私は、YouTubeの完成度はこの程度で充分だと思って運営しています。
大切なのは動画の内容とPR方法です。
やたらと精度の高い作品を作り込む工務店もありますが、作り手の自己満足で終わらないように注意してください。
工務店は、動画を何のために出すのかをよく考える必要があります。
演出過多や更新が止まるなどSNSが逆効果になる失敗と、スマホ一つで問い合わせを増やした一人親方のYouTube事例は、小規模工務店のSNSの続け方で解説しています。
ホームページの中身が展示場のない工務店の営業を左右する

工務店にとってホームページの充実は最低限の責務ですが、内容がつまらない工務店はまだ多いと私は感じています。
どの工務店も、ぱっと見は綺麗なホームページを作っています。
ところが、ふわっとした雰囲気はそれなりにできていても、お客さんの気持ちをつかまえるコンテンツやアイテムが圧倒的に少ないというのが私の分析です。
住宅展示場を持っている住宅会社なら、お客さんにその場で実物を見てもらい、社員と話してもらえるので、商談が進む可能性は高くなります。しかし、そうした施設を持たない工務店では、お客さんが工務店に連絡するか、やめておくかを分ける大きなポイントがホームページの印象になることは間違いありません。
代表者のあいさつに社長の考え方と性格を出す
工務店のホームページでよく見かけるのが、代表者のプロフィールがつまらないケースです。定型文で始まって定型文で終わる社長のあいさつが悪いとは言いませんが、少なくとも面白いとは言えません。
工務店の経営者の方は、いろいろな工務店のホームページを探してみてください。社長の考え方や性格が前面に出ているあいさつ文をたまに見かけますが、そのあいさつ文が経営者の目にとまったのなら、お客さんの心もつかまえている可能性が高いと言えます。
お客さんが写り込んだ施工写真を営業ツールにする
施工写真も工夫してほしいところです。
私も住宅営業の現役時代には、自分が担当した案件の施工写真を営業カバンに入れていましたが、その内容はほかの営業社員と圧倒的に違っていました。
ほかの営業社員の写真には、どれを見てもほとんど人の気配がなく、無味乾燥な家の写真が淡々と並んでいるだけでした。
私は、お客さんと一緒に完成現場や施工途中の現場へ行ったときに、積極的に写真を撮りました。お客さんの同意が要るのはもちろんで、毎回次のように確認していました。
「お客さんが映り込んだ写真があるのですが、これを私の営業資料として新しいお客さんにお見せしても構いませんか?」
実は、私は撮影のときに意図的にお客さんが写り込む写真を多めに撮っていました。
枚数は多くありませんが、タイマーをかけて私とお客さんが一緒に写る写真もありました。
さらに、現場監督やほかの営業社員が同席するときには、同席した人にこう頼んでいたのです。
「お願いがあるんだけどさ、俺とお客さんが一緒に映り込むような写真を何枚か適当に撮ってくれない?」
私は撮ってもらった写真の中から適当なものを選び、お客さんに許可を取ったうえで営業ツールにしました。当時はホームページに載せるわけではなく、あくまで私個人がお客さんに見せる、いわば限定公開の写真でした。
今の時代ならホームページにも載せたいところですが、その前に、お客さんからある程度の拒絶反応は出るはずです。考えられる反応は、次の4つ程度です。
「それは恥ずかしいからやめてもらえる?」
「別に構わないけども顔が出るのは嫌だな」
「2~3枚だったらいいけど事前に見せてね」
「別に構わないよ」
お願いする件数が2件や3件では足りませんが、10件、20件とお願いすれば、おそらく半数以上のお客さんはOKしてくれるはずです。
工務店はこうした写真をホームページに載せたり、営業社員の手持ちのタブレットに入れたりして、お客さんとの折衝で使ってください。
簡単なことですが、非常に効果があります。
まとめ
住宅展示場がなくても、小規模工務店が十分に戦える時代になりました。
大手ハウスメーカーが住宅総合展示場から撤退している今の状況は、小規模工務店にとって明らかに追い風です。
現場見学会の協力は契約時にお願いし、ホームページにはお客さんが写り込んだ施工写真と社長の人柄が伝わるあいさつを載せることで、展示場がなくても見せるものは作れます。
とりわけSNSは、住宅営業の事情を一変させました。
目ざとい工務店はいち早くSNSの力に目をつけて活用し始め、実際に結果を出しています。
「Youtubeってどんな感じなんだろうなあ……」と感じている経営者の方は、すぐにでも始めるべきです。
案ずるより産むが易しとは、まさにこのことです。
ぜひ本記事の3つの見せ方を参考に、次の建築請負契約の席での見学会のお願いと、YouTubeでの発信から始めてください。



