大手ハウスメーカーは恵まれています。
地域のパワービルダーも同じでしょう。
自社展示場があるのは当然のこと、別途ショールームを所有していたり、もしくは何らかの施設があったりするのでお客さんを連れて行く場所に困りません。
さらに付け加えるならば、同時に着工している件数が多いので、工事途中の現場も簡単にピックアップできて、お客さんが希望する進行状況の現場を見てもらうこともできます。
引き渡し棟数も当然多いので、すでにお客さんが住んでいるお宅の中を見てもらうチャンスも大手の方が圧倒的に多いです。
商談を考えればこれはもちろん有利なことですが、小規模工務店も工夫をすればかなりの部分で対抗できるのです。
コンサル現場で見た小規模工務店の抱える問題点⑧・・・展示場がないので見せるものがない
展示場がない
小規模工務店が展示場所有しているのは稀なことでしょう。
維持費には多額の経費がかかりますし、展示場を建設したからといってお客さんが次から次へとやってくるわけでもありません。
また、20年前ならいざ知らず、大手ハウスメーカーも住宅総合展示場から続々と撤退しているのが現状です。
こう考えると、展示場がないからといって悲観する要素は、以前と比べれば随分小さくなったと私は思っています。
しかし、経費面を度外視すれば、お客さんを呼べる住宅展示場がある方が有利なのは事実でしょう。
展示場がない問題を小規模工務店はどう解決するか
次の3点がこの問題の解決方法でしょう。
① 現場見学会
古典的な手法になりますが、実物を見せることが住宅展示場に対抗するには最大の効果を発揮します。
ハウスメーカーのように住宅展示を持っている ケースでも、さらに念押しするために現場見学会は重要視していますので、住宅展示場がなければ 現場見学会を行うのはなおさらのことです。
ここで一つだけアドバイスをしましょう。
小規模工務店の問題点は年間の着工数が少ないので、必然的に開催出来る現場見学会の数の上限が決まることにあります。
年間5棟施工する工務店であれば、どう頑張っても5か所の現場見学会が上限となるのですが、以前と比べて現場見学会として家を貸してくれるお客様の率が減ってきたので、年間5件の着工数では下手をすると一回もできない危険性もありま 。
これを回避するためには、お客さんの現場見学会承諾率を上げざるを得ないのですが、お願いするタイミングは契約時の一択だと私は思っています。
よくあるケースは、引き渡しの直前になって「そうだ、練馬区の加藤さんって来月引き渡しじゃない?現場見学会できないかお願いしてくれないかな」と慌てて動くことです。
お客さんはそんなことを意識していませんので、直前に言われてもなかなか素直に「はい」とは言えないのです。
② SNSによる発信
20年前になくて今あるといえばこれでしょう。
最近では小規模工務店もガンガン発信を開始するようになりましたが、うまく運用すれば大きな効果が出ることは私が説明するまでもないでしょう。
今回のコラムはSNSと運用についてではありませんので詳細な解説はしませんが、とにかくSNSには積極的に取り組んでください。
私もいろんな会社をお手伝いしていますが、中には一人親方や大工さんのYouTubeもあります。
20年以上前から面識のある大工さんですが、昨年お声をかけましたら「面白いね!実はYoutubeのことは気になっていたんだよね」と乗り気で、さっそくスタートしました。
URLを貼っておきますのでよかったら覗いてみてください。
https://www.youtube.com/@user-gn5nd4vf4g/videos
Youtubeの完成度はこの程度で充分だと私は思ってやっているのですが、肝心なのは動画内容とこのPR方法にあります。
やたらと精度の高い作品を作り込む工務店の方も散見されますが、単なる自己満足で終わらないように注意してください。
何が目的かをよく考えるのです。
HPの充実は最低限の責務
これも説明するまで無いのですが、まだまだ内容がつまらない工務店が多いと私は感じています。
パッと見はみなさん綺麗なホームページを作って います。
“フワっ”としたものはそれなりにできているのですが、お客さんの気持ちを捉まえるようなコンテンツやアイテムが圧倒的に少ないと私は分析しています。
住宅展示場を所有していれば、その場で実物を見てもらい会社の人とコミュニケーションを取れるので、商談が進む可能性が高いのでしょう。
しかし、そうした施設を持ってないとホームページのイメージが、皆さんに接触するのかそれともやめるのかの大きなポイントとなることは間違いありません。
ホームページのどこを充実させるのか
このことは以前書いたので、簡単にここでは簡単に解説いたします。
代表者のプロフィールがつまらないケースがよく見られます。
定型文で始まって、定型文で終わるような社長の挨拶が悪いとは言いませんが、少なくとも面白いとは言えないでしょう。
いろいろな工務店のホームページをぜひ探してみてください。
社長の考え方や性格が全面に現れているようなあいさつ文をたまに見かけますが、目にとまったということはそれがお客さんの心を捉まえている可能性が高い証左になります。
施工写真も工夫して欲しいですね。
私も現役時代には自分が担当した案件の施工写真を、営業カバンに入れていました。
しかし、他の営業と内容が圧倒的に違っていたのです。
他の営業の写真は、どれを見てもほぼ人の気配がなかったのです。
無味乾燥な家の写真が淡々と並んでいるだけの写真と言えばよいでしょうか。
お客さんの同意が必要なのはもちろんですが、私はお客さんと一緒に完成現場や施工途中の現場へ行った時には、積極的に写真を撮りました。
「お客さんが映り込んだ写真があるのですが、これを私の営業資料として新しいお客さんにお見せしても構いませんか?」
必ずこのような確認作業していましたが、実は写真を撮影する時、 意図的にお客さんが写り込むような写真を多めに撮っていましたし、 あとはタイマーをかけてわたしとお客さんが一緒に映るような写真も枚数は多くありませんがありました。
さらに、現場監督や他の営業社員などが同席する場合には、その人物にこう頼んでいたのです。
「お願いがあるんだけどさ、俺とお客さんが一緒に映り込むような写真を何枚か適当に撮ってくれない?」
こうして撮影してもらった中から適当なものを選び、そしてお客さんに許可を取って営業ツールとしたのです。
当時はホームページに掲載するわけではありませんので、あくまでも私個人がお客さんに対して見せる、いわば限定公開の写真でした。
今の時代であればホームページに掲載したいのですが、さすがにその前にお客さんからはある程度の拒絶反応は出るでしょう。
・「それは恥ずかしいからやめてもらえる?」
・「別に構わないけども顔が出るのは嫌だな」
・「2~3枚だったらいいけど事前に見せてね」
・「別に構わないよ」
考えられる反応はこの程度です。
お願いする件数が2件や3件ではダメですが、10件20件とお願いすれば、おそらく半数以上の方はOKしてくれるでしょう。
こうした写真をホームページに掲載したり、手持ちのタブレットに入れたりしてお客さんとの折衝の際に使いましょう。
簡単なことですが非常に効果があります。
まとめ
展示場などなくても充分に戦える時代になりました。
それどころか、大手ハウスメーカーが展示場から撤退しているのが現状ですので、小規模工務店の皆さんには明らかに追い風だと言えるのではないでしょうか。
特にSNSは営業事情を一変させた感があります。
目ざとい工務店は瞬時にこの破壊力に目をつけて活用しだしましたし、実際に結果が出ていると言わざるを得ません。
「 Youtubeってどんな感じなんだろうなあ・・・」
なんとなくこう感じているのであれば、すぐにでも乗り出すべきでしょう。
案ずるより産むが易しとはまさにこのことです。