建売の集客を契約につなげる接客とは?住宅営業と不動産営業の違い

2年前に神奈川県の分譲地で私が見た販売代理会社の不動産営業は、お客さんと現地で落ち合い、「16畳のリビング」「TOTO製のキッチン」と物件の説明を続けていました。
建売の集客で集めたお客さんへの案内では、営業が案内の前にお客さんの家族構成や趣味を聞き出し、「この物件はあなたに合っています」と言える材料をそろえているかが成績を左右します。注文住宅の営業は、住宅展示場で30分ほど雑談する間にその材料を集めてから、建売の案内に向かいます。
本記事では、不動産営業と住宅営業の建売の接客フローの違いと、問い合わせを契約につなげる段取りを解説します。
建売の集客後に差がつく不動産営業の現地案内(神奈川県の分譲地)
私は普段、ハウスメーカーや工務店の住宅営業に向けて記事を書いていますが、本記事は建売を扱う不動産会社の営業の方にも読んでほしい内容です。不動産営業の方は、おそらく分譲住宅など建売の接客や販売を苦手としているか、苦手だと気づいていないのではないかと私は考えています。
販売代理会社の不動産営業がお客さんを連れてきた
2年前、最高気温が39度という異様に暑い日に、私はある住宅会社が分譲した20区画前後の建売の現場に顔を出しました。私の目的は、現場に詰めていた新人営業と実践的なロープレを行うことでした。
ロープレを始めて30分ほど経ったころ、新人営業の携帯電話が鳴りました。電話を切った新人営業は、私にこう話しました。
「今から販売代理店である〇〇住宅販売の営業さんがお客さんを連れてここに来るそうです」
私にとっては好都合な知らせで、新人とロールプレイングをした直後に、実際の接客を目の前で見られる機会になりました。電話からものの5分で、販売代理店の不動産営業とお客さんが現地にやってきました。
物件の説明だけで終わった建売の案内
販売代理店の不動産営業が建売を接客する場面を生で見る機会は、なかなかありません。面白そうだと思った私は、接客する不動産営業とつかず離れずの距離をとり、会話に耳をそばだてていました。
営業「こちらが16畳のリビングですね、そして畳コーナーもあります。キッチンはTOTO製で少しグレードの良いものを使っています」
客「なるほどね……なかなかいいですね」
営業「収納もたくさんありますし光も十分に入ります」
接客はだいたいこの調子で続きました。
不動産営業は何も間違ったことを言っていませんが、新築をやってきた私には、この接客が文字どおりの「物件案内」に見えました。
淡々と物件の概要を説明していく不動産営業を見て、私は「新築営業とは世界が違うんだな」「そもそも接客フローが違うからこうなるんだ」と再認識しました。
新築の注文住宅営業と不動産営業の接客の違いは、福岡の建売分譲地での体験談をもとに注文住宅営業と不動産営業の違いで解説しています。
建売の集客ルートで違う住宅営業と不動産営業の接客フロー
建売を案内するまでの流れは、新築の住宅営業と不動産営業とで構造的に違います。全く同じ場合もありますが、ここでは自社の住宅展示場があり、自社分譲地に建つ建売も抱えている住宅会社を想定します。
住宅展示場で初対面する新築の住宅営業
新築の住宅営業も、電話の問い合わせの後に現場で落ち合うことはありますが、まずは住宅展示場に来場したお客さんと初対面します。住宅展示場では、営業とお客さんの間でたとえばこんな会話が交わされます。
営業「土地を探されているのですね。どのあたりですか?」
客「〇〇駅近辺で50坪くらいですかね」
営業「そのあたりなら弊社の建売分譲がありますよ」
客「そうなんですか。総額でいくらですか?」
営業「4000万円程度ですね。場所も近いですし今から見学されませんか?」
実際の会話はもっと長いのですが、要約するとこの流れになります。
お客さんはせっかく住宅展示場に来ているので、建売を見に行く前に展示場を一通り見学し、その間に営業とさまざまな雑談をします。
営業は30分も雑談をすれば、家族構成はもちろん、家に対する趣味嗜好などもヒアリングできるので、初対面でもお客さんをある程度理解した状態で建売を案内できます。
現地で落ち合う不動産営業
不動産営業の場合は一概には言えませんが、新規のお客さんから電話やメールで問い合わせを受け、建売の現地で落ち合うケースが多いのではないかと私は考えています。
会社から同じ車で現地へ移動するケースもあるかもしれません。
新築の住宅営業は、業務フローの中に住宅展示場で話を聞き出す時間が挟み込まれる分だけ、顧客情報をためたうえで建売の案内に臨めます。
建売の案内の前に営業がしておく準備は、立地条件の調査や家族構成別の問答集を含めて建売住宅の売り方で解説しています。
注文住宅の住宅営業が建売の案内でしていること
不動産営業は、普段から土地の仕入れや売買を行い、建売の販売協力をしたり自社の分譲地を扱ったりしています。
一方、住宅展示場がある住宅会社の新築営業は、普段は来場したお客さんの接客をしています。
新築の住宅営業は注文住宅を基本に想定しているので、お客さんの要望を細かくヒアリングする癖が身に染みついています。
聞き出した家族の趣味を建売の間取りに結び付ける
建売の販売は注文住宅と違い、営業は目の前にある物件そのものを売らなければなりません。
そのため、営業が事前に得たお客さんの情報は、「この物件はあなたに合っていますよ」と話を持っていく材料になります。
新築の住宅営業であれば、建売の案内でこんな話を展開できます。
営業「こちらが今主流の玄関脇収納ですが、上のお兄ちゃんはサッカー少年とのことなので、こうした土足で入れる収納は重宝すると思います。サッカーボールならいくつでも転がせておけますよ(笑)」
客「そうだよね。このスペースはいいかもしれないね」
営業「そういえばご主人が釣りをやられると先ほどお聞きししましたが、サッカーボールと同じようにここに釣りボックスも置いてください。どうしても濡れ物になるのでこういう場所は必須ですよ」
客「なるほどね……」
営業「この建売は玄関脇収納が他物件より特に広くとってありますので、アウトドア系のご趣味が多い方に取ってはうってつけの物件と言えます」
注文住宅営業G君が案内前に考えていた独り言
私が指導している住宅会社の一社に、辣腕の注文住宅営業のG君がいます。G君は本来、注文住宅がメインの営業ですが、この住宅会社は自社分譲地を多数抱えているので、建売も数多く販売しています。
注文住宅の癖がついているG君は、建売見学の電話問い合わせが入っても「せっかくなので弊社の展示場もご覧になりませんか?」と、自社の住宅展示場へ誘導します。
G君はそこでさまざまな情報を聞き出し、建売の案内の前にこう考えます。
家族構成もわかったし思っていた以上にメンテナンスを気にしていることも分かった。
うちの建売は外壁が基本的にメンテナンスフリーを謳っているので、そこは徹底的にアピールしていこう。
リビングは20畳以上を欲しいといっていたが、今から案内する建売は16畳だ。ここを何とかうまく説明しきらないとダメ出しを食らう可能性がある。
家事動線に関しては奥さんが強い要望をもっていたので、この物件であればそこそこにアピールはできそうだ。
でも、家事動線が素晴らしい!
とまでは言えないので、なんかうまいアピールの仕方を急いで考えないとな。
注文住宅の営業にとって、要望を深く聞いてプランニングするのは通常業務です。
G君は建売を紹介するときにも、要望を事前に集め、その建売をどうアピールするかを前もって考えています。
不動産営業がこの進め方を身に付ければ、分譲地の建売販売の成績は大きく上がるはずです。
建売の弱点を認めたうえで地域のニーズに合う強みを打ち出す接客は、建売の集客方法と接客術で解説しています。
問い合わせを建売の案内につなげる集客の段取り
建売の集客で入った問い合わせを物件案内だけで終わらせないために、営業は案内の前の段階で手を打てます。問い合わせそのものを増やす方法は、住宅営業の探客方法で解説しています。
問い合わせの段階でお客さんの話を聞く時間を取る
住宅展示場を持つ住宅会社であれば、営業はG君のように、建売見学の問い合わせを受けた時点で展示場の見学も勧め、案内の前にお客さんの話を聞く時間を取ります。奥さんの要望の聞き出し方は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
案内の前に物件の合う点と足りない点を書き出す
営業は聞き出した要望を案内する建売の仕様と照らし合わせ、G君がメンテナンスフリーの外壁と16畳のリビングを分けて考えたように、アピールできる点と説明を用意すべき点を案内の前に整理しておきます。分譲地の初回接客で立地をどう説明するかは、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
まとめ
私が見た不動産営業の建売案内が「物件案内」になったのは、お客さんと現地で落ち合い、案内の前に話を聞く時間が無いという接客フローの違いから来ています。注文住宅の営業は住宅展示場で家族構成や趣味を聞き出し、G君のように物件のアピールの仕方を案内前に考えてから建売を見せています。
問い合わせの段階で話を聞く時間を取ること、案内の前に物件の合う点と足りない点を整理しておくことを不動産営業が身に付ければ、分譲地の建売販売の成績は上がるはずです。
ぜひ本記事の神奈川県の分譲地での体験談とG君の独り言を参考に、次の建売の案内の前にお客さんの話を聞く時間を作ってください。



