工務店がリフォームに動けない理由|23社中2社の実例とOB客訪問

工務店がリフォームに動けない理由|23社中2社の実例とOB客訪問

私が講師を務めたリフォーム特化のセミナーには、通常の1.5倍ほどの工務店が集まりました。

別のリフォームセミナーでは、参加者のアンケートにも前向きな意見が並びました。

ところが、その23社が参加したセミナーでは、1か月後に動きが変わっていた工務店は2社だけでした。

工務店がリフォームに動けないのは、必要性を分かっていないからではありません。

新築の営業スタイル一本でやってきたため、リフォームの話の切り出し方が分からないからです。

新築が激減して多くの工務店が淘汰されるなか、自社で建てて15年たったOB客に手紙と電話で連絡すれば、アポイント率は90%程度になると私は見ています。

本記事では、工務店がリフォームに動けない本音と、OB客への訪問から収納の提案につなげる手順を解説します。

リフォームセミナーには工務店が集まるのに動かない理由

リフォームを掲げると集客が1.5倍になった

つい先日、私が講師を務めたリフォーム特化のリアルセミナーでは、通常より1.5倍ほど多い工務店が集まったと主催者が話していました。

セミナーの主催者は、手を変え品を変えて集客に頭を悩ませています。

講師として呼ばれる私は、当日に「今日は何社ぐらいお見えになっているんですか」と聞いて終わりです。

それでも、セミナー終了後に次回のテーマを相談すると、主催者は「リフォームに絡めると人が集まるのは事実だ」と言っていました。一方で、主催者が聞いている現場の声では、実際にリフォームに舵を切っている工務店はあまりなく、セミナーで見聞きしたことを実践している工務店も少ないそうです。

主催者のアンケートに出た新築にしがみつく5つの本音

同じ主催者は定期的に工務店へアンケートを取っていて、私はその内容を教えてもらいました。ほかにも回答はありましたが、私がいますぐ思い出せるものだけでも5項目あります。

① 新築が減っているのは分かっているが、徐々に減っているのである種ゆでガエル状態になっているかもしれない

② 暗にリフォームを馬鹿にしている

③ 新築一棟とリフォーム五軒が同じ金額とすれば、新築をやった方が一発で済むのでやりやすい

④ リフォームは剥がしてみないとわからないので怖い

⑤ リフォームに比重を置くと新築を二度とやれないような恐怖感がある

なかなか面白い回答です。新築メインで工務店をやってきた人から見れば、新築こそ腕を振るえる仕事で、リフォームはなんとなく都落ちした気がするという気持ちも分からなくはありません。

実際、以前は大手ハウスメーカーでもリフォーム部門はそんな存在で、新築営業で成績を上げられない営業社員の左遷先と見られていました。しかし、いまはハウスメーカーを中心とした規模の大きい住宅会社がリフォームに目を付けて動き出していて、時代は全く異なっています。

工務店が建てた築15〜30年の家を専業リフォーム会社が狙っている実情は、OB施主のフォローを怠る工務店の弱みで解説しています。

23社中2社しか動かなかった工務店のリフォーム実態

先月、私は某所でリフォームセミナーを行いました。

リモートではなくリアルのセミナーで、23社28名の工務店の方に参加していただきました。

主催者はある住宅関連企業で、出席した工務店にはそれぞれ主催企業の営業担当者がついています。

セミナーで私は、手持ちの現場映像など臨場感のある写真や映像を使い、「今ここでリフォームに舵を切らないと知らないよ」ぐらいの調子でかなり強く訴えました。参加者のアンケートでも「リフォームに真剣に取り組まないと間に合わなくなることがわかった」「弊社でも何かしらの動きを考えてみたい」など、前向きな意見が大多数を占めていました。

1か月後に営業担当C君から聞いた23社の動き

セミナーからちょうど1か月たった昨日、私はそれぞれの営業担当者に、参加した工務店のリフォームへの動きを聞いてみました。

私「この前のセミナーの後だけど、工務店の動きはなんか変わった?」

C君「アンケートも以前お見せしましたけど、リフォームを真剣にやらなくちゃいけないということは皆さん分っています」

私「それで、実際の動きはどんな感じになった?」

C君「23社のうち2社は動きがかなり変わった感じがするのですが、その他の会社はまだまだなんですよね」

アンケートでは前向きでも、工務店が実際に動くとなると話が違うようです。これはどのセミナーにも当てはまる話だと私は思っていて、よほどのポンコツ講師でない限り、話す内容は理にかなっており、参加者がハッとさせられる部分もたくさんあるはずです。

最も多かった答えは「やらないとあかんとは毎日思っているよ」

主催企業の営業担当者は、工務店を訪問したときにリフォームへの前向き度合いをヒアリングしています。そこで最も多く返ってきた答えが、この一言でした。

工務店は、リフォームをやらなくてはいけないと分かっていて、決して後ろ向きなわけではありません。

しかし、日々の仕事をこなしながら、これまでやってこなかった営業アプローチを新しく始めるのは、簡単そうに見えて実は高い壁があります。

さらに、新築がたまに取れてしまうと、細かい作業を伴うリフォームはつい後回しになってしまいます。

後回しになりがちなリフォームに工務店が取り組む利点は、工務店のリフォーム事業のメリットで解説しています。

新築営業一本の工務店はOB客からリフォームを始める

営業担当者が聞いた声で多かったのは、やる気はあっても具体的なアプローチが分からないという意見です。工務店はこれまで新築の営業スタイル一本でやってきたので、リフォームの話をどのように持っていけばよいかが分からないというわけです。

SNS広告より自社で建てたOB客が近道

専業リフォーム会社のようにSNSなどで広告を打って新規のリフォーム客を集めるのは、工務店にはなかなか難しいです。

工務店にとって手っ取り早いのは、これまで建てた新築のお客さんにアプローチして、リフォームを受注する方法です。

ところが、工務店からはこれも難しいという声が上がっていました。

新築が減るなかでOB施主からリフォームを受注する考え方は、工務店がOB施主からリフォームを受注する方法で解説しています。

15年たったOB客に手紙と電話でアポを取る

基本的な初期動作は2つだけです。まず、工務店からお客さんに手紙かメールを出して、訪問することを告知します。

新築して15年が経過しましたが弊社では15年経ったお客さんのお宅を全て回ることにさせていただきました。

告知の手紙やメールを送った後に、工務店から電話をして確認します。

手紙と電話はどちらも簡単にできることで、この手順でやればアポイント率は90%程度になると私は見ています。

実際に私の指導先でも、リフォーム受注はこの流れに沿ってやってもらっています。

お宅に伺ってからもいろいろありますが、工務店がお客さんに連絡して日にちを決め、お宅にお邪魔しないことには話は何も進みません。手紙やショートメールの書き方は、住宅営業のお礼状の書き方で解説しています。

15年後の家族構成から立てるリフォーム提案の仮説

工務店がOB客を訪問した後のアプローチも極めて簡単で、その一つが、家族構成の変化から仮説を立てて提案するテクニックです。

高校生の姉妹がいる家庭を想定する

例えば、工務店が新築から15年後にアポイントを取って訪問したとします。15年前の商談のときに1歳と2歳の年子の女の子がいたとすれば、2人ともいまは高校生です。

築15年以上のOB客を資金の余裕の順に並べて訪問先を絞る手順は、OB顧客へのリフォーム営業で解説しています。

女子高生2人が抱えていそうな不便さを考えると、新築当時に思いきり収納を取っていた場合を除き、現実に多いのは服をしまうスペースの不足です。そうなると、お客さんは安価なビニール製の衣装ケースを買ってきて部屋の片隅に置いたり、クローゼットに服を無理やり押し込んだりしていると推測できます。

仮説を会話で確かめる

工務店がこうした仮説を持って訪問すると、こんな会話が成り立つ可能性があります。

工務店「そういえば年子のお嬢さんも高校生じゃないですか?」

お客様「そうですよ、2人ともずいぶん大きくなったんですけども、夜遅く帰って来て喧嘩したりそんな歳になってきましたね」

工務店「女の子ですし年頃ですから、かわいい服なんかいっぱい増えたじゃないですか」

お客様「それはもうものすごいですよ、2人とも競っておしゃれして休日なんか出てきますからね」

工務店「あの当時作った収納はいわゆる一間(いっけん)のものだったので、服をしまうスペースが足りなくなってませんか」

お客さんから「全く問題ありません」と言われれば、工務店はそこで話を終わらせればよいだけです。

しかし、この質問に大きく動揺するお客さんはかなりいると私は思っています。

お客さんが動揺すれば、そこにリフォームのチャンスが生まれます。

訪問前の仮説づくりを含むリフォーム提案の業務にChatGPTを使う方法は、ChatGPTのリフォーム提案への活用方法で解説しています。

まとめ

新築が激減して多くの工務店が淘汰されると分かっていても、セミナーの後に動けていた工務店は23社中2社でした。工務店が動けない理由は、新築への思い入れと、リフォームの話の切り出し方が分からないことにあります。

新築だけで他社と圧倒的な差別化ができる自信と根拠があれば、リフォームを無視してもよいと私は思います。しかし、よほどの特徴がなければ、傷が深くならないうちにリフォームの比率を上げることに力を入れるよう、私は強くお勧めします。

ぜひ本記事のOB客への手紙と電話の手順を参考に、新築から15年たったお客さんへの連絡から始めてください。

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