住宅営業のリモート商談のコツ|大手メーカーの初回面談を見た体験談

リモート商談は実際に会うのとは勝手が違うので、なかなかうまくいかない経験をしている住宅営業の方も多いでしょう。
大手ハウスメーカーJ社の30代半ばの男性営業は、お客さんの勤め先を使った雑談、注文住宅へのこだわりを確かめる質問、質問に合わせてすぐ映す自分で集めた資料の3つで、初対面から10分ほどで奥さんの要望まで聞き出していました。私は新築住宅を考えているお客さんの横に同席して、この初回面談を見ていました。
本記事では、その商談の中身と、地場工務店でも真似できるリモート商談のコツを解説します。
私がリモート商談に同席した大手ハウスメーカーJ社の担当営業
私がお客さん側に同席してリモート商談を観察したのは、今回が3回目です。久々に生の商談を見られるとあってワクワクドキドキしていましたが、J社の担当営業は、それまでに見た2回の営業社員よりも明らかに力が上回っていました。
J社の担当営業は30代半ばと思われる男性で、口調は穏やかで、話すスピードも適度でした。
声の質やトーンもリモートで聞きやすいもので、これは努力して身につけられるものではありません。
見た目もこざっぱりとしていて、どこかの劇団にでも所属していそうないい男でした。
私はコンサル先でもリモートによる営業折衝についてよくアドバイスしていますが、同じようにリモートで初回面談を行っている住宅会社の方は、参考にしてください。対面の初回接客の進め方は分譲地での住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
住宅営業がリモート商談の冒頭5分で使ったアイスブレイク
パソコンの画面にJ社の営業の顔が映り、「はじめまして」で商談が始まりました。最初の5分程度、J社の営業は家と全く関係のない話をしていましたが、このアイスブレイクの技術の高さが、J社の営業の優れた点の一つでした。
勤め先の海運会社からウクライナの話題を振った
リモート商談では、お客さんの情報が事前に住宅会社へ伝わっています。自己資金や希望する土地の場所といった家に関する情報は本題で使いますが、J社の営業はそれ以外の情報をうまく使って雑談を進めました。
営業「〇〇さんの勤め先は〇〇海運とのことですが、ウクライナ戦争が始まってから大混乱ではないですか?」
客「そうなんですよ。ウクライナのオデッサから出るはずの小麦がストップしたものですから、海運会社はどこもてんてこ舞いです」
営業「世界情勢に関して私はすごく興味があるんですけども、小麦を安全に港から出すのどうのこうのって協定は今でもちゃんと生きてるんですか?」
J社の営業は、お客さんが海運会社に勤めているという事前情報をもとに、ウクライナに絡めた雑談を振ろうと最初から決めていたのでしょう。J社の営業は感心したようにうなずきながら聞いていただけでしたが、私が印象に残ったのは、お客さんであるご主人がウクライナなどの世界情勢を事細かに、かつ楽しそうに話していた姿です。
ご主人はこの話題についてある意味当事者なので、得意げに話すことができます。お客さんの側からすると、気分が良く、スッキリする時間だったはずで、アイスブレイクとしては大成功でした。
お客さんが楽しく話せる雑談で商談の空気を和ませる方法は、比喩やネタのメモを使った営業のアイスブレイク例で解説しています。
注文住宅へのこだわりを初回面談で聞き出す質問
アイスブレイクが終わると、J社の営業は次のような質問をしました。
「今回は注文住宅をお考えなわけですが、マンションとかあるいは分譲住宅建売住宅などは全く眼中にないのですか」
この質問は大事です。
お客さんの中には、注文住宅ができればいいものの、好条件の物件があればマンションでも建売でも構わないという人がいます。
一方で、どうしても注文住宅がいいというお客さんは家にこだわりを持っている可能性が高く、営業は提案のポイントを先に分かっていれば商談を進めやすくなります。

奥さんのキッチンと化粧台へのこだわりを聞き出した
実際に、J社の営業は質問を重ねてお客さんのこだわりを確かめていきました。
営業「絶対に注文住宅というお話でしたが、これはご主人かもしくは奥様どちらの方が強いんでしょう」
客「今日この場にはいませんけどもう圧倒的に妻なんですよ。特にキッチンに対しては強烈な思い入れがあるみたいですし、あとは寝室に付随したクローゼットですかね。何せ服をたくさん持っていることもありますし化粧を念入りにやるタイプなので、寝室に付随したクローゼットの中に水が出る設備を伴った化粧台を是が非でも欲しいみたいです」
J社の営業は、提案に使える大事な情報を、初めて顔を合わせてから10分かそこらで聞き出しています。
私は横で無言のまま会話に集中していましたが、J社の営業は自然な流れの中で、お客さんの肝となる情報をどんどん吸い上げていきました。
奥さんへの接客の考え方はハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
新卒社員でも真似できる2つの質問
このヒアリングの仕方は、新卒社員でも十分にできます。
住宅営業は初回面談で、「注文住宅への思い入れがありますか?」「マンションや建売の可能性はあるのですか?」と聞くだけです。
注文住宅へのこだわりのほかに、資金計画や健康状態など初回面談で確かめておく項目の聞き方は、住宅営業の初回面談で聞くべきことで解説しています。
リモート商談で質問にすぐ映せる資料を集めておく
たまたま合致しただけの可能性は否定しきれませんが、お客さんが疑問を口にしたり質問を投げかけたりすると、J社の営業はそれに見合った的確な資料を画面に映してきました。私が見たところ、資料は会社が用意したものではなく、営業個人でかき集めたものである可能性が高いものでした。
目に優しい照明の資料をすぐに映した
会話の中で、ご主人は、夫婦ともにこのところ目が悪くなり、今の部屋で使っている照明がまぶしく感じることが増えてきたと話しました。
J社の営業は、その話に対して「目に優しい照明とは」をテーマにした資料をすぐに画面へ出しました。
ほかの質問にも、同じように的確な資料がスピーディーに映し出されました。
私も驚きましたが、商談が終わったあと、お客さんであるご主人もこう話していました。
「あの営業はすごいですね。私が何を質問しても腹の底から納得できるような資料をさっと出してくるんですから」
営業個人で集めた資料で競合に差がつく
私は研修でもコンサル先でも、営業社員が持っている資料をよくチェックしますが、その貧弱さには毎回驚かされます。
会社が作ったきれいなカタログはいいのですが、勝負になるのは営業自身が知恵を絞ってかき集めた資料です。
ここを甘く見て手を抜いている住宅営業が実に多いと考えてください。
住宅営業は、毎日コツコツとで構わないので、新築営業の資料になるものをインターネット上から探し出して保管する癖をつけてください。
誰にでもできる簡単なことですが、多くの住宅営業社員はやっていないのが実情です。
なので、真似して資料を集めた営業は競合に強くなります。
手元の資料が足りずに資料探しで沈黙してしまうといった失敗は、住宅営業の初回面談で失敗する場面で解説しています。
まとめ
J社(Jホーム)の営業は、勤め先を使ったアイスブレイク、注文住宅へのこだわりを確かめる質問、質問に合わせてすぐ映す自前の資料で、リモートの初回面談を進めていました。この商談には他にも見どころが多く、引き続き紹介したいと思います。
J社の営業のやり方に、私があっと驚くようなものはありませんでしたし、大手ハウスメーカーだからこそできるものも思い当たりません。小規模な地場工務店でも、ほぼそのまま真似ができる内容ばかりです。
ぜひ本記事のJ社の営業の3つのやり方を参考に、次のリモート商談の準備をしてください。



