リフォーム業者の倒産が19年で最悪な理由と生き残った会社の事例

新築が頭打ちになり、ハウスメーカーや工務店がこぞってリフォームに乗り出しています。ところが、建築リフォーム工事業の倒産件数が2023年度に過去19年間で最も悪い数字になったという東京商工リサーチの調べが、ニュースで流れました。
リフォーム業者の倒産が増えた原因は、新築の減少で新築専門の住宅会社がリフォームに参入し、リフォーム専業の業者がそのあおりを受けたことにあると私は見ています。中部地方のある外壁専門のリフォーム会社は、受注が落ちた一般リフォームからすぐに撤退して生き残りました。
本記事では、リフォーム業者の倒産が増えた原因と、住宅会社がリフォームに参入する前に準備することを、私が見てきた事例をもとに解説します。
リフォーム業者の倒産が過去19年で最悪になった2023年度
東京商工リサーチが調べた建築リフォーム工事業の倒産件数
東京商工リサーチの調べでは、建築リフォーム工事業の倒産件数は、過去19年間の中で2023年度が最も悪い数字でした。
来年、再来年とこの数字が伸びていくかどうかは、私には分かりません。
それでも、リフォームの時代が来たと言われる中でリフォーム業者が倒産していくのは、一見すると逆の動きに見えます。
リフォーム業者と同じように、新築を手がける工務店の倒産件数の推移と倒産の原因は、工務店の倒産原因と倒産件数で解説しています。
倒産が増える一方でリフォームの問い合わせは増えている
私の仕事は、ハウスメーカーや住宅会社の営業社員に、住宅営業のノウハウや手法を教えることです。
本業の営業指導から派生して、私はユーチューブ動画の作成を手伝ったり、建材会社の若手営業社員を指導したりもしています。
さらに、私はエンドユーザー向けのユーチューブを運営し、エンドユーザー向けの記事も毎月5〜6本書いています。
こうした活動をしていると、私のもとにはいろいろな会社から問い合わせが毎月2〜3件入ってきます。
知人の紹介で来ることもあれば、私が登録しているある機関を通して打診されることもあり、先々月にはある超大手のメーカーから問い合わせがありました。
あるシンクタンクからは、次のような問い合わせが届いています。
「リフォーム業者が嫌がることは何か教えて欲しい」
このシンクタンクの向こうには別の業者がいて、その業者はリフォーム業者向けに何らかのビジネスを提案できないかと考えています。リフォーム業者が嫌がることを調べ、それを解決できる商品や仕組みを提供すれば、ビジネスとして成り立つ可能性があるわけです。
私に届く問い合わせの中身は、新築よりリフォームに関するものが増えてきました。
問い合わせてくる会社は私の経歴を見たうえで連絡してきますし、私はリフォームの仕事もしているものの、仕事の比率は新築が多いとはっきり書いています。
それを承知でリフォームのことを聞いてくるのですから、世の中がリフォームに動いているのは明らかです。
株式の世界には「株価は半年先を見越して推移する」という昔からの鉄則があります。
経済の先行きがプロでも読みにくいときでも、株価がじりじり上がっていれば、投資家はこの先企業の業績が好転すると読みます。
私に届く問い合わせでリフォームの比率がじりじり上がっているのも同じで、リフォーム需要が増えている、もしくは今後増えていく期待感があると考えていいはずです。
某調査会社で長く懇意にしている担当者も、リフォームの勢いはすごいと話していました。新築が頭打ちになったことで、住宅業界の業者が一斉にリフォームで食べていけないかと考えているからです。
倒産が増えた原因はハウスメーカー・工務店のリフォーム参入
リフォーム業者の倒産が増えた原因は、新築の減少にあると私は考えています。
これまで新築とリフォームはきれいにすみ分けていましたが、新築が減ってからは、ハウスメーカーを含む新築専門の住宅会社がリフォームに参入する動きが目立つようになりました。
その結果、リフォーム専業の業者が新築の会社との競争のあおりを受けたわけです。
私の分析では、リフォーム業者の側にも油断していた感があります。
7〜8年前は、少し営業すれば時代の波に乗って思いのほか受注が取れたという声をリフォーム業者からよく聞きましたが、時代が変わったのでしょう。
新築の工務店がOB施主からリフォームを受注する動きは、工務店のリフォーム受注の進め方で解説しています。
一般リフォームから撤退して生き残った外壁専門会社(中部地方)
中部地方にある外壁専門のリフォーム会社とは、あるセミナーを通じて知り合いました。私はその会社の社長といろいろ話す機会があり、あるとき次のようなアドバイスをしました。
私「会社は外壁リフォーム専門なんですよね」
社長「そうですよ。外壁専門ですけどもこれで充分利益が出ますからね」
私「一般リフォームに参入する予定はありませんか」
社長「外壁で充分回っていますし一般リフォームは経験がないですからちょっと考えてないんですよ」
私「でも今参入したらおそらくガンガン利益が上がると思いますよ」
このやり取りの後、社長は一般リフォームに参入しました。
しばらくして私が社長とメールのやり取りをしたところ、あまりの好受注ぶりが文面からも伝わってくるほどでした。
社長に才覚があったのはもちろんですが、社長自身があまりに受注が取れることに面食らったそうです。
ところが、そこから一般リフォームの受注は急激に落ち、社長は一般リフォームから撤退して、従来の外壁塗装専門に戻りました。
結果的にはその判断が功を奏し、会社は大きな打撃もなく今も営業を続けています。
一方で、受注が取れたことを勘違いしてあぐらをかいたリフォーム業者は、スピーディーに撤退できず、かなり淘汰されていると私は見ています。
撤退が遅れた業者が淘汰される一方で、工務店の倒産が増えている理由と取るべき対策は、工務店の倒産が急増する理由と対策で解説しています。
倒産件数を見て新築に戻るのは危険な選択
倒産のデータを見た住宅会社からは、「リフォームはダメじゃないか。やっぱり新築だ」という声が聞こえてきそうです。
しかし、私に言わせれば、これは極めて危険な消極的選択です。
住宅会社がしっかりとした仕事をすれば、リフォームの競争に負けることはありません。
神戸のハンバーグ店がつぶれた2つの理由
この話は、つぶれる飲食店の特徴と同じだと考えてください。
私が住んでいる神戸にあったハンバーグ店は、3年前に見事につぶれました。
家族で営んでいるように見えたそのハンバーグ店は、ショッピングモールのフードコートに出店してから半年もたたないうちに、ハンバーグ専門店なのにかき氷を始め、子供限定のおもちゃのくじ引きにも手を出しました。
「この店も持たないね」
店の前を通るたびに妻と私はこんな会話をしていましたが、ほどなくしてシャッターが下りました。
オーナーと直接話したわけではないので、本当のところは分かりません。
ハンバーグ店は、専門がハンバーグなのに関係のないかき氷を始め、しかもアイテムを増やせば売上が上がると考えただけで、かき氷へのこだわりは何もありませんでした。
私はこの2点が失敗の原因だと推測しており、つぶれるお店が直前にいろいろなところへ手を出すのはよくあることです。
「新築がダメならリフォームもやってみっか」
この考え方は、つぶれたハンバーグ店の理論と同じです。
工務店がリフォームに参入する前に準備すること
そもそも新築一本の工務店がリフォームに参入しても、畑違いのことをするわけではありません。
新築の会社が真剣にリフォームに参入するなら、ハンバーグ店とはまったく違う展開になります。
ただし、「リフォームもやってみっか」という安易な参入ではいけません。
工務店がリフォームに参入するなら、お客さんに受け入れられるデザイン性をどう担保するのか、お客さんが今の自宅に持っている不満をどう聞き出すのかを準備したうえで参入すればいいのです。参入するリフォームの得意分野の決め方は、リフォームの得意分野を確立して収納提案につなげる営業戦略で解説しています。
まとめ
リフォーム業者の倒産が2023年度に過去19年間で最悪になったのは、新築の減少でハウスメーカーや工務店がリフォームに参入し、受注が取れた時代に油断した業者が撤退できなかったためだと私は見ています。それでも、準備をしたうえで参入する住宅会社にとって、リフォームの需要は増えていく流れにあります。
今後はZEHへの対応も目前に迫ってきます。
私はつい先日、長年の知人が登壇する住宅金融支援機構主催のセミナーに参加しましたが、会場には40人ほどの工務店関係者が集まっていました。
住宅会社は、ZEHについてもアンテナを張り、最新情報を入手するようにしてください。
ぜひ本記事の外壁専門会社とハンバーグ店の事例を参考に、リフォームに参入する前に参入の準備を整えてください。



