住宅営業のヒアリングのコツ5つ|初回接客で聞く項目と雑談ネタ

展示場で90分も話し込んだのに、2回目のアポで何を話せばいいのか分からなくなることがあります。住宅営業を続けていると、この壁には一度は当たります。
住宅営業のヒアリングで大事なのは、建築理由・入居時期・予算といった必須項目を初回で押さえつつ、お客さんが自分から話したくなる話題を拾っておくことです。テレビ東京の解説委員がレオナルド・デカプリオへの取材を8分の予定から20分以上に延ばした手法は、展示場の初回接客にもそのまま使えます。
本記事では、初回接客で聞くべき7項目と、積水ハウス時代に私が実践していたヒアリングのコツ5つを、実際の取材話と体験談を交えて解説します。
住宅営業のヒアリングとは?聞き上手が契約を取る理由
戸建住宅営業、不動産営業、アパート営業はもちろん、営業と名のつく仕事に就いている人が必ず身につけなければならないのがヒアリングです。聞き上手は営業上手とよく言われますが、これに異論を挟む人はまずいないでしょう。
注文住宅は、お客さんの暮らし方・家族構成・予算をつかまないとプランも見積もりも出せない商品です。住宅営業のヒアリングは、その材料を集める作業であると同時に、「この営業なら任せてもいい」という信頼を積み上げる時間でもあります。
お客さんの暮らし方から困りごとを引き出す聞き方は、写真を使った住宅営業のヒアリングで解説しています。
難しく考える必要はありません。仕事でもプライベートでも、聞き上手になるポイントを身につければ、商談の中身は変わります。
住宅営業の初回接客で聞く7項目(ヒアリングシートの中身)
住宅展示場の初回接客で契約が決まることは、まずありません。
分譲地や建売を紹介して偶然はまれば即決もありえますが、通常は2回目以降の商談が勝負です。
だからこそ初回のヒアリングでは、次の7項目を漏れなく押さえておきます。
ヒアリングシートを作るときも、この7項目を軸にすると抜けが出ません。
初回面談で7項目を印を付けながら書き込める書式は、住宅ヒアリングシートのテンプレートで解説しています。
初回のヒアリングを資金計画の話へつなぐ流れは、住宅営業の初回接客の台本で解説しています。
| 項目 | 聞くこと | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 建築理由 | なぜ今、家を建てようと思ったのか | 提案の軸が決まる |
| 入居希望時期 | いつまでに住みたいのか(子どもの入学など) | 商談のスケジュールが引ける |
| 予算・資金計画 | 総予算、自己資金、住宅ローンの見通し | プランの規模が決まる |
| 土地 | 土地の有無、希望エリア、建て替えかどうか | 土地探しから入るかが分かる |
| 家族構成とキーマン | 誰が住み、誰が最終的に決めるのか | 話す相手を間違えない |
| 他社の検討状況 | どこのハウスメーカー・工務店を見たか | 比較されている点が分かる |
| 趣味・こだわり | 休日の過ごし方、好きなもの | 2回目以降の雑談ネタになる |
最初の6項目はどの住宅会社でも聞きますが、差がつくのは7つ目です。
私が初回接客でいちばん神経を使っていたのは、この「趣味・こだわり」でした。
理由は次のコツで解説します。
住宅営業のヒアリングのコツ5つ
ここからは、テレビ東京でニュース解説を担当している豊嶋さんがYouTubeで話していた取材の裏話を参考にしながら、住宅営業に置き換えたヒアリングのコツを紹介します。
相手が話したくなる話題を事前に調べる
豊嶋さんがレオナルド・デカプリオに取材したときの話です。
「私以外に3局も同時に取材に来ていたのですが、他局は全て若い女子アナだったんですよね。1社当たりの制限時間は8分と決められていて、私は一番最後でした。デカプリオにとっても3人の女性と話をした後に最後におっさんだとテンション落ちるだろうな~と(笑)」
ところが、前の3人がきっちり8分で終わったのに対し、豊嶋さんの取材は20分以上続き、最後はデカプリオのマネージャーが止めに入ったそうです。
豊嶋さんは「普段は何をやっていますか?」のような質問をする気はなかったと話していました。
他局が似たことを聞くのは想定できますし、デカプリオも世界中で聞かれて、いい加減うんざりしているはずだからです。
調べた結果、デカプリオがウォール街について強い関心と意見を持っていると分かり、そのインタビュー記事を集めて突っ込んだところ、デカプリオは自分の意見をとうとうと話し出したといいます。
住宅営業でも同じです。
お客さんが大の犬好きだと分かったら、次回のアポまでに犬のネタをたくさん仕込んで商談に臨めばよいのです。
家の話はいつでもできますし、頃合いを見計らって家の話に戻せば問題はありません。
相手の言葉を記録して次の商談で持ち出す

豊嶋さんは、アメリカの著名な経済学者を取材したときの話もしていました。その学者のベストセラーを徹底的に読み込み、付箋をこれでもかと付けて、取材の場で本を傍らに置いてこう聞いたそうです。
「先生の本を徹底的に読み込みましたが、67ページに〇〇と書いてありました。あれは先生の断固たる主張と考えてよいのでしょうか?」
こう聞かれれば、「ここまで読み込んでいるとは。真剣に対応しなくてはいけないな」と普通はなるでしょう。
展示場に来るお客さんは本を書いていませんし、初回はどんな人なのかも分かりません。それでも初回で話してくれた言葉をメモに残し、2回目の商談で「前回、お子さんがサッカーを始めたとおっしゃっていましたよね」と持ち出せば、本に付けた付箋と同じ働きをします。
初回接客は2回目の雑談ネタを集める場と割り切る
私は紹介面談に全精力を傾けていました。「そんなの当たり前じゃないか」と言われそうですが、ほかの営業と違ったのは、2回目以降の商談を想定して雑談ネタを必死にためていたことです。
初回で契約が決まらない以上、初回の仕事は2回目を盛り上げる材料を集めることになります。
お客さんの何気ない一言も聞き漏らさないよう、どんな細かい内容もメモに残していました。
前章の7項目でいえば、7つ目の「趣味・こだわり」を集める時間です。
展示場の案内に慣れた頃に自分の体験談をはさむ
豊嶋さんは、退屈な会議の例えも出していました。
「つまらない内容の会議だと、顔だけはZoomの画面上に表れていても頭の中は全く別のことを考えてるということもあるでしょう。こんな時に上司がいきなり今朝の通勤電車で出会ったとんでもなく迷惑な乗客の話をしたらいかがですか。なんだろうと耳を傾けるのではないでしょうか」
固い話の途中でふとプライベートな話をすると、多くの人は関心を寄せます。展示場で来場直後に身の上話をする必要はありませんが、10分、20分と案内して少しこなれた頃に自分の話をはさむと、お客さんの食いつきが変わります。
キッチンの説明をしているときなら、「私の実家の話ですが、母は対面キッチンにして大失敗だったと今でも言っているんですよね。失敗した理由なんですけど……」と切り出します。
キッチンの説明はしっかりしたうえで、そこに自分の体験談を混ぜ込むわけです。
豊嶋さんも取材中に「ここだ!」と思ったら自分の話を積極的にするそうで、そのほうが深い話を聞けると体験的に分かっているからだといいます。
体験談を交えた自分の話の出し方は、住宅営業の自己開示のコツで解説しています。
聞いた内容はヒアリングシートに残して社内で共有する
初回で集めた情報は、営業の頭の中だけに置いておくと、担当替えや設計担当への引き継ぎで抜け落ちます。ヒアリングシートに7項目と雑談ネタを書き残し、設計担当や上司と共有しておくと、2回目のプラン提案で「前回お話しされた〇〇を反映しました」と言えるようになります。
お客さんにとっては、営業が自分の話を覚えているかどうかが、その会社を信頼するかどうかの判断材料になります。
住宅営業のヒアリングでやってはいけないこと
コツの裏返しになりますが、次の3つは初回接客でやりがちな失敗です。
- 「普段は何をされていますか?」のような、どの会社でも聞かれる質問だけで終わる
- 関係ができる前に予算や年収から聞き始めて、お客さんを身構えさせる
- メモを取らず、2回目に同じことを聞き直す
とくに3つ目は信頼を一気に失います。デカプリオが何度も同じ質問にうんざりしていたように、お客さんも他社で何度も聞かれたことをもう一度聞かれると、それだけで気持ちが離れます。
よくある質問
住宅営業のヒアリングシートには何を書けばいいですか?
建築理由、入居希望時期、予算・資金計画、土地の有無、家族構成とキーマン、他社の検討状況、趣味・こだわりの7項目を軸にすると漏れが出ません。7つ目の趣味やこだわりは、2回目以降の雑談ネタとして使えるよう具体的に書き残しておきます。
初回接客のヒアリングにかける時間はどれくらいですか?
展示場の案内と合わせて60〜90分ほどが目安です。最初から質問を並べるのではなく、案内しながら会話の中で聞いていくと、お客さんも構えずに話してくれます。
予算はいつ聞けばいいですか?
案内が進んでお客さんが打ち解けてからが聞きやすいです。最初に聞くと身構えられるので、家族構成や入居時期を聞いた流れで「ご予算の目安はありますか」と尋ねると自然に答えてもらえます。
口数の少ないお客さんからはどう話を引き出せばいいですか?
自分の体験談を先に話すのが近道です。キッチンや収納の説明の途中で実家や自宅の失敗談をはさむと、お客さんも「うちもそうなんです」と話し始めることが多くあります。
まとめ
住宅営業のヒアリングは、建築理由や予算といった必須項目を押さえるだけでなく、お客さんが自分から話したくなる話題を初回で集めておくことで、2回目以降の商談が大きく変わります。デカプリオの取材が8分から20分以上に延びたのも、相手の関心を事前に調べ、そこに質問を絞ったからでした。
初回で聞いた言葉をメモに残して次の商談で持ち出すことも、案内に慣れた頃に自分の体験談をはさむことも、今日の接客から始められます。決めきれないお客さんへの対応は間取りが決まらない客への対応で解説しています。
ぜひ本記事の7項目とコツを参考に、次の初回接客から雑談ネタのメモを取り始めてください。



