住宅展示場の呼び込みは効果がある?工務店の来場者数データと体験談

総合住宅展示場に行くと、場所によってはモデルハウスの前にテントを張ったスタッフが、通りがかった来場者に次々と声をかけています。
住宅展示場の呼び込みには効果があります。呼び込み専門の派遣社員を雇ったある有力工務店では、2018年4〜6月の新規来場者が前年の同じ月をすべて上回り、3か月の契約数も前年より伸びました。
本記事では、北九州の住宅展示場で私が受けた呼び込みの体験談と工務店の来場者データをもとに、住宅展示場の呼び込みの効果を解説します。
住宅展示場で呼び込みが生まれる理由(横浜の総合住宅展示場の場合)
総合住宅展示場に行くと、場所によっては少し異様な光景に出くわします。
例えば横浜にある日本最大の総合住宅展示場には、40数棟というとんでもない数のモデルハウスが建っています。
これだけ多いと、各住宅会社は自社の玄関にどうやって入ってもらうかに四苦八苦します。
総合住宅展示場で自社のモデルハウスに来場してもらう工夫は、住宅展示場のブラックボードの書き方で解説しています。
お客さんが見学できるのは、駆け足で回ってもせいぜい10社です。本気で話を聞けば1社につき90分から120分はかかるので、じっくり話を聞けるのは3社か4社が限界で、5社も6社も回るのは事実上不可能です。
40数棟もある横浜の総合住宅展示場では、住宅会社が何もしなければ、お客さんはなかなか自社のモデルハウスを見学してくれません。
こうした事情から、展示場の前で来場者に声をかけて呼び込む作戦が生まれました。
呼び込み以外に来場者を増やす手として、展示場イベントを開くときの注意点は展示場の再来場を生むイベント企画で解説しています。
北九州の住宅展示場で受けたしつこい呼び込み(RKB小倉北展示場)
福岡県北九州市は政令指定都市で、かつては八幡製鉄所のおかげで活気があり、栄えていた町です。残念ながら近年は人口も減り、2年前にはとうとう100万人を切ったというニュースもありました。
北九州市には総合住宅展示場が二つあります。
どちらもそれほど大きくはありませんが、呼び込みをする住宅会社は徹底的にやっています。
私はたまたまRKB小倉北展示場に用があり、レンタカーで駐車場に乗りつけました。
歌舞伎町のキャッチのような声かけ
面白おかしく言っているのではありません。歌舞伎町をはじめ全国の繁華街では、黒服のお兄さんや夜の蝶のお姉さんが、警察の目を盗んで道行く男性にさかんに声をかけていますが、このときの住宅展示場はまさにそんな感じでした。
すべての住宅会社がそうだったわけではありません。ある会社とさせていただきますが、その会社のモデルハウスの前にいた女性が、半端なく強力な呼び込みをしていました。
「お兄さん!こない?」
さすがに女性はこんな言い方はしません(笑)。ただ、私が辟易(へきえき)するほどしつこい声かけだったのは事実です。
「そういう方は絶対に来ないんですよ」と行く手をふさがれた
女性「気に入った住宅メーカーは見つかりましたか?」
私「いやブラブラと見ているだけなんで」
女性「それなら是非こちらもご覧ください」
私「そうですね・・・色々見てから・・・また」
女性「今キャンペーンやっておりましてアンケートにご記入いただくだけで抽選ができます」
私「とりあえずまた来ます」
女性「そういう方は絶対に来ないんですよ。うちを見ないと必ず後悔しますよ。だから今見学しましょう!」
ここまで突っ込んでくる呼び込みは、私は初めてでした(笑)。私は私服を着ていたので、女性は私をお客さんだと思って接していたわけです。
各メーカーが集客に必死なのは私も分かっているので、女性の行動は理解できます。
女性が腕を引っ張って中に連れ込むようなことはもちろんありませんでしたが、私の行く手を遮るように体を少しかぶせ気味に寄せてきたときには、さすがに驚きました。
一般のお客さんがあれをされたら引いてしまうのではないかと、私は感じました。
展示場前の呼び込みの声かけから始まる接客は、呼び込みから始めるモデルハウス接客で解説しています。
繁華街の客引きに見る呼び込みの効果

呼び込みと聞くと、多くの人は繁華街を思い浮かべます。
居酒屋、キャバクラ、風俗にはじまり、アメ横のような昼のお店でも客引きは行われていますが、こうした客引きには効果があります。
夜の街は酔客がおもなターゲットとはいえ、店が声をかけるから利益につながり、アメ横の店も声をかけて気を引くところから利益を生んでいます。
私の知人に、居酒屋を経営している男性がいます。
知人は利益がなかなか上がらずに困っていたとき、専門の呼び込み業者を使い、売上が30%増しになったそうです。
このやり方は一部で問題になっていますし、住宅展示場の呼び込みとは中身が違いますが、声をかけることが一定の効果を出すのは間違いありません。
呼び込みを始めた工務店の来場者数と契約数
大手ハウスメーカーではありませんが、総合住宅展示場に出店している有力な工務店のデータがあります。この工務店は、周りのメーカーの一部が展示場の外で呼び込みをする姿を見ても、当初は追随しない方針をとっていました。
しかし集客が落ち込むにつれ、工務店は「違法な行為をしているわけではなく、お客さんに嫌悪感を与えるような呼び込みをしなければ問題はない」と判断しました。そこで工務店は、呼び込み専門の派遣の女性社員を雇って呼び込みを始めました。
2017年と2018年の新規来場者数の比較
表の数字は、コロナ前の2017年と2018年の4〜6月に、この工務店の展示場に来た新規来場者数です。
| 月 | 2017年(呼び込み前) | 2018年(呼び込み後) |
|---|---|---|
| 4月 | 14組 | 27組 |
| 5月 | 21組 | 29組 |
| 6月 | 11組 | 30組 |
1年違えば市況も変わりますし、私たちが気づいていない別の要因があったかもしれないので、断定はできません。
それでもこの数字を見る限り、工務店が呼び込みを始めたことで展示場に多くのお客さんが来たのは事実です。
そして肝心の契約数は、3か月間の合計で2017年と比べて2018年は123%アップになりました。
声かけで入った28組の中身と3組の契約
契約数が増えたのは声かけで入ったお客さんの分が寄与したと推測できるので、声かけで入ったお客さんの中身も見てみます。3か月間で、声かけによって展示場に入ったと認められるお客さんは28組でした。
28組のうち、すでに家を建ててしまった、あるいはまったくやる気がないと認められるお客さんは10組でしたが、残る18組の中に、かなりいいと思われるお客さんがなんと10組いました。
残りの8組はその中間です。
声かけをしなければ、この10組はほとんど展示場に入らなかったと私は思います。
かなりいいと思われるお客さんを3か月で10組も集客できたのは、ものすごい成果です。
来場した組数から何件の契約を目指すかの考え方は、住宅展示場の成約率の目安で解説しています。
半年後に私がもう一度数字を見ると、この10組のうち3組が契約に至っていました。来場時に見込みが薄そうに見えた来場者の例は住宅展示場の集客方法で解説しています。
まとめ
個人的には、展示場の外でテントを張って声をかけるのは好きではありません。
数千万円もする住宅という商品を、声をかけて売ろうとすることに、私はなんとも違和感があります。
銀座にあるグッチやプラダ、イブサンローランのショップが玄関で呼び込みをしているかといえば、そんなことは絶対にありません。
しかし複数の住宅会社が競合する総合住宅展示場では、展示場の前で声をかけることが受注につながると、工務店のデータを見れば明らかだと私は思います。
ぜひ本記事の工務店のデータと北九州での体験談を参考に、自社の住宅展示場で呼び込みをするかどうかと、どんな声かけにするかを決めてください。



