住宅展示場の和室の伝え方|畳コーナーとの違いとメリット5つ

ほとんどの住宅展示場には和室が設けられています。
ところが、住宅営業がお客さんを和室に案内しても、じっくり説明する場面はめったにありません。
和室を重視しない人や、和室は要らないという若い世代が増えていることが背景として考えられます。
住宅営業が和室の会話で一定のレベルを保つには、3つのことが要ります。長押や床柱といった名称を空で言えること、「和室が欲しい」という答えが本格的な和室か畳コーナーかを確かめること、新潟県の女性営業から教わった洗濯物を畳む場面のような暮らしの使い方で説明することです。
本記事では、住宅営業が覚えておきたい和室の知識と、ヒアリングの注意点、住宅展示場で和室のメリットを伝えるトークを解説します。
住宅営業が覚えておきたい和室の名称と畳の種類
和室にこだわりのあるお客さんにも、こだわりのないお客さんにも、住宅営業は最低限の和室の知識をもとに会話できなければなりません。これまで和室の説明に自信がなく、深い話を避けてきた営業マンは、和室の知識を見直してください。
長押・鴨居・床柱などの名称と読み方
長押、鴨居、地袋、天袋、床柱と並べたとき、住宅営業のあなたはそもそも正しく読めるでしょうか。
| 名称 | 読み方 |
|---|---|
| 長押 | なげし |
| 鴨居 | かもい |
| 地袋 | じぶくろ |
| 天袋 | てんぶくろ |
| 床柱 | とこばしら |
営業マンは読めるだけでなく、それぞれが和室のどこに当たるかを知っておく必要があります。
図の出典は敷島住宅株式会社のホームページです。この図には7つの名称しか載っていませんが、住宅営業が覚えておきたい名称は実際にはこの3倍程度あるので、暗記してください。
床柱も、一言で床柱と片づけるわけにはいきません。
床柱の材質には紫檀(したん)や黒檀(こくたん)に始まり、吉野杉の一刀彫(いっとうぼり)までさまざまな種類があります。
勤務する住宅展示場に和室があるなら、住宅営業はそれぞれの名称をすらすらと空で言えるようになってください。
琉球畳と置き畳
琉球畳は一般的な畳とは形が違う畳で、現場に出ている住宅営業なら聞いたことがある言葉です。
写真の出典は畳のタカス商店のホームページです。
琉球畳は、縁(へり)がない正方形の畳と理解すれば十分です。
おしゃれな見た目がお客さんに受けて、琉球畳は畳部屋の復権をけん引しています。
部屋一面に琉球畳を敷き込む施工をしなくても、床板の上に一部だけ琉球畳を置く形式もおしゃれで、この形式はいわゆる置き畳と呼ばれています。
住宅展示場で「和室は欲しいですか?」と聞いたあとのヒアリング
先日、私は展示場内のカメラ越しに、若手の住宅営業の接客を見ていました。そのとき、お客さんと営業マンの間でこんな会話が交わされました。
営業マン「和室は欲しいですか?」
お客さん「和室はいいですよね。やはりほしいですね」
やり取りはこれだけですが、住宅営業はこの場面で気を付けなくてはいけないことがあります。
本格的な和室か畳コーナーかを確かめる
「和室は欲しいですか?」は、住宅営業がお客さんにする定番の質問です。
お客さんの答えが「欲しいです」だった場合、営業マンは、お客さんが望んでいるのが本来の和室なのか、単なる畳コーナーなのかをヒアリングしてください。
本格的な和室と畳コーナーでは、中身がまったく異なります。
ヒアリングが足りないと、本格的な和室か畳コーナーかがあいまいになってしまいます。
カメラ越しに見た若手営業もここを押さえない会話をしていたので、私は接客が終わった後に注意しました。
本格的な和室か畳コーナーかを確かめるヒアリングや、親の影響度の探り方は、展示場接客での和室の説明で解説しています。
和室のメリットを暮らしの場面で伝えるトーク
住宅展示場には、和室が欲しいお客さんも、和室は要らないというお客さんも来場します。住宅営業はどちらのお客さんにも、「和室があるといいですよ」と説明できる根拠を身につけておいてください。
庭から取り込んだ洗濯物を畳の上で畳める(新潟県の女性営業の実例)
洗濯物の話は、新潟県で営業活動をしているある女性営業から教えてもらったもので、聞いたときは私も「なるほどな」と納得しました。リビングとつながった和室はよくありますが、その和室は庭にも面していることが多いと思います。
住宅営業は、お客さんに次の場面を思い浮かべてもらいます。
お客さんは庭に干していた洗濯物を取り込み、乾いた服や下着を腕いっぱいに抱えています。
お客さんはリビングの掃き出し窓を開けて床に“どん!”と置くこともできますが、板の間に座って畳むのはしっくりきません。
洗濯物は、板の間に置くより畳の上に置いた方が汚らしい感じがせず、畳む作業も畳の上に座った方がしやすいはずです。
私はこの一連の流れを、実際の住宅展示場で女性営業に再現してもらいましたが、彼女の説明はものすごく自然で納得できるものでした。
女性営業はものの5分で接客した奥さんと仲良くなるという得意技を持っていて、展示場内のいたる場所で、洗濯物の説明と同じテクニックを使っているそうです。
奥さんへの接客の考え方はハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
初回接客で和室の希望を聞き、和室を重視するお客さんと波長を合わせた別の女性営業の接客は、和室の営業トークと初回接客で解説しています。
大人がごろんと横になれて、子供の遊び場にもなる
私個人の感想ですが、畳の上にごろんと大の字になれるのは何にも代えがたい癒やしだと信じて疑いません。お客さんに「そうは思わない」と言われればどうしようもありませんが、私が展示場接客の現場でこの当たり前の話をすると、多くのお客さんは首を縦に振ってくれます。
リビングに和室を併設したお客さんのうち、小さな子供がいる家庭の奥さんからは、次のような話をよく聞きます。
「うちのチビは畳の上にいつもお店を広げるんですよ~(笑)」
子供にとっても畳は座り心地が良く、リビングにはダイニングテーブルや椅子が置いてあって何となく邪魔なので、畳の部屋は居心地が良いのかもしれません。
仏壇や親の宿泊まで考えた和室の提案
洋風の仏壇でも和室がしっくりくる
洋風のおしゃれな仏壇も増えていて、色も黒や茶色一辺倒ではなく、クリーム色や真っ白なものまで多彩です。
それでも、仏壇がいちばんしっくりくる部屋が和室であることに異論はないでしょう。
若いお客さんの場合、今は仏壇を持っていないケースが多いと思います。
しかし、お客さんがいつ実家から仏壇を譲り受けることになるかは誰にも分かりません。
そう考えると、お客さんは和室を作っておくか、最低限でも畳を敷いた洋風の部屋を作っておくべきだと私は考えます。
親が泊まりに来たときや家族が寝たきりになったとき
親が自宅に泊まりに来たときを想定するトークは、住宅営業の間ではけっこうポピュラーです。
いつ来るかも分からない親のために、お客さんが洋室を作ってベッドを置いておくわけにはいきません。
和室であれば、お客さんはふだんは和室として使い、布団は押入れにしまっておけば済みます。
また、万が一家族が寝たきりになったときも、リビングに併設した和室があれば、寝たきりの家族もだんらんに加わることができます。
要らなくなったら洋室にリフォームすればよい
和室は何かと使い勝手のいい部屋です。
お客さんが和室を絶対に必要ないと判断したら、10年後にリフォームをして洋室に変えればいいだけの話です。
くどいようですが、私は住宅営業に、展示場に来場したお客さんに対してもっと和室を勧めてほしいと考えています。
引き渡し後のお客さんからリフォームを受注する流れは工務店がOB施主からリフォームを受注する方法で解説しています。
まとめ
住宅展示場の和室を説明するとき、住宅営業は長押や床柱などの名称と琉球畳のような畳の種類を押さえ、「和室が欲しい」という答えが本格的な和室か畳コーナーかをヒアリングで確かめます。そのうえで、洗濯物を畳む、ごろんと横になる、子供が遊ぶ、仏壇を置く、親が泊まるといった暮らしの場面でメリットを伝えれば、和室にこだわりのあるお客さんとも、こだわりのないお客さんとも、一定のレベルを保った会話ができます。
ぜひ本記事の和室の知識とトークを参考に、勤務する住宅展示場の和室での接客を見直してください。



