追客をやめる基準|しつこい住宅営業は悪か、契約客の本音から考える

住宅展示場では、「アンケートに名前を書いたらとんでもないことになるから書きたくない!」と記名を渋るお客さんがいます。
先日私が取材した契約客の奥様は、資料請求の後に営業担当者から1回だけ届いたメールを無視したら、その後は何の連絡もなかったと話しました。
奥様はそのことを、迷惑がなくて良かったとは受け止めず、お客さんとして見られていないようで寂しかったと振り返っています。
連絡しすぎることより、連絡しないことのほうがお客さんの不満になる場面があります。
本記事では、契約客の本音をもとに、住宅営業の追客がしつこいと思われる場面と思われない場面、「いやだ」と言われたときのやめ方、押さない工務店の発信の方法を解説します。
住宅展示場のアンケートで「しつこい住宅営業」が警戒される理由
アンケートに名前を書きたくないというお客さんの声は、お客さんにとっても、私たち住宅業界の人間にとっても、昔からある永遠のテーマです。
最近の総合住宅展示場では、センターハウスで一度記名すれば他の手間が省けたり、QRコードで登録して名前を書かずに済んだりする仕組みが整ってきました。
それでも、お客さんが住宅会社に住所と氏名を渡すことに変わりはないので、しつこい営業をかけられるリスクと不安は昔も今もつきまといます。
見学会で来場者に今後の連絡方法まで尋ねる書式は、見学会のイベントアンケートテンプレートで解説しています。
私の先輩世代には、お客さんが首を縦に振るまで帰ってくるなという教育で育った住宅営業がわんさかいました。
私自身はそんな手法は冗談じゃないと思っていましたし、私の周囲にそこまでする人間はいませんでした。
ただ、上司から出る指示が「ガンガン訪問しろ!」だったのは間違いありません。
そこで住宅会社が考えなくてはいけないのが、業者側としてどの程度まで追客すればいいのかという線引きです。
住宅営業の追客がしつこいかどうかは競合で決まる(契約客取材)
一般的には、ガツガツと営業をかけてもお客さんに迷惑をかけるだけで、何も良いことはないと考えられています。ところが、この点を大きく曲解している住宅業者が多いのが事実です。
1回のメールで連絡が途絶えた営業担当者への本音
先日私が話を伺った契約客の奥様との会話を再現します。
私 「今回の営業担当者の問題点は何かありますか」
奥様「問題点かどうかわかりませんが、私が資料請求をした後一回だけメールが来たのですが無視したんですよね。そうしたらその後は何の連絡もなかったです」
私 「それはそれで鬱陶しくなかった、ということはなかったですか」
奥様「人によってはそうとれるかもしれませんが、私の感覚としては、お客さんと見られていないなぁ・・・と寂しい感じがしましたね」
これはレアケースではなく、一定数のお客さんが同じ答えを返すとお考えください。奥様もそうでしたが、住宅展示場で住所氏名を書いたお客さんは、ある程度の営業攻勢があることを予期しています。
競合の4社は「ガンガンきました」
私 「全くアプローチしてこなかったとのことですが、他社はどんな感じでした?」
奥様「〇〇ハウスさんや他の有名メーカー4社にも資料請求しましたが、彼らはガンガンきましたよ(笑)」
このケースは、競合会社を含めて5社の戦いでした。残りの4社がかなり積極的に営業をかけてきたので、お客さんもその状態に慣れていたのです。
この状況であれば、全くプッシュしなかった営業担当者がガンガン電話をかけたりメールを送ったりしても、その他大勢と同じことをしているだけです。
そのため、お客さんにとっては全く不快ではないと判断すべきです。
逆に、他社がこうした営業を全くしていないときに一社だけガンガン行くと、お客さんに「しつこくて嫌だな」と思われてマイナスに作用する可能性はもちろんあります。
しかし、競合会社が4社も5社もあると想定される場合、競合はほぼ間違いなく積極的な営業を仕掛けてきます。
そこで自社の住宅営業だけが動かなければ、奥様のように「私のことを客と思っていないようだ」と受け取るお客さんが出てきます。
契約客の取材から分かる奥様の見方は、ハウスメーカー営業の奥さんへの接客トークで解説しています。
「押す追客は迷惑」という住宅会社の思い込み
嫌々訪問して気付いた「熱心な営業さんだね」という声
昔と比べると、住宅営業はお客さんへのアプローチに気を遣わなくてはいけない時代になりました。
私も組織にいましたので、上司の指示には嫌々ながら従っていました。
私はこんなことをしたらどう考えても迷惑だろうと思いながら訪問していましたが、思わぬ収穫もありました。
私のアプローチに辟易(へきえき)とするお客さんがいる一方で、同じ動きを「熱心な営業さんだね」と好意的に受け止めるお客さんが一定数いることに気付いたのです。令和の時代になった今でも、数は減ったものの、同じ感想を持つお客さんが一定数いるのは紛れもない事実です。
強引な押し倒しと最初のコンタクトは別物
勘違いしてほしくありませんが、お客さんが不快に思うような追客はどう考えてもダメです。
お客さんの気持ちなど関係ないとばかりに押し倒すような住宅営業は、話にならないというか、頭がおかしいとしか私には思えません。
不動産営業の中には、押すことで一定数の契約が取れるという理由から、それをどんどん推奨する会社があるのも事実です。
しかし、私が一営業であればそんなことは死んでもしたくありませんし、経営者であれば営業社員に決してさせません。
強引なアプローチはダメですが、住宅会社が先入観で追客を控える思い込みも、営業上は大きなマイナスです。
お客さんから「絶対に電話をかけないでほしい」「メールも不可」「自宅に来るなど論外」と事前に念押しされたのであれば、住宅営業は自制しなくてはいけません。
しかし、一般的な資料請求の段階では、お客さんがどのような考えを持っているかは分かりません。
そのため、住宅営業はひとまずコンタクトを取って、押すことに何ら問題はないと考えてください。
反応の薄いお客さんを、追客を嫌がっていると決めつけない考え方は、追客を嫌がられると決めつけない理由で解説しています。
お客さんに「いやだ」と言われたら住宅営業は即座に追客をやめる
住宅営業が自宅を訪問したり電話をしたりしたことを、お客さんが明らかに不快に思った場合は、即座に追客を中止してください。住宅会社としては、それで何も問題はありません。
掲示板などで見かける住宅会社への苦情は、接触するなと言っているのに営業がやってくるといった、お客さんの意向を明らかに無視したケースです。
私はライフワークでお客さんの取材を続けているので自信を持って言い切りますが、接触を嫌うお客さんであっても、一回注意した後にピタッとアプローチをやめた住宅会社を不快には思いません。
むしろお客さんは、その住宅会社を「要望を言ったらしっかり守ってくる営業さん」と認識します。
約束を破る強行追客の危うさと、電話や訪問を嫌うお客さんにも届く連絡の取り方は、メールを基本にした住宅営業の追客で解説しています。
メールやショートメールなら受け取れるというお客さんへの連絡の工夫は、住宅営業のお礼状の書き方で解説しています。
しつこい追客をしない工務店はお客さんから来る仕組みを作る
押しまくる住宅会社に受注を取られる現実
ガツガツした営業をしたくない、あるいはできない工務店も多いかと思います。
しかし、現実の営業現場では、押しまくる営業戦略を採る住宅会社がそれなりの受注を取っていくのが実態です。
誰もが知る有名不動産会社は、とにかくイケイケで「断られたからが勝負だ!」という雰囲気が社内に充満していることで有名です。
自社が良い住宅を提供しているという自負があっても、押しの強さで負けては釈然としない気持ちになるのはよく理解できます。
ただ、お客さんをガンガン責め立てる会社とまともに張り合っては、工務店の体力が持ちません。
それならば、イケイケ営業に対抗する手段を考えなくては話になりません。
ホームページ・インスタグラム・X・ユーチューブで発信する
昔ながらの追客は、住宅会社からお客さんに向かうベクトルです。
工務店がこのベクトルを拒否するのであれば、お客さんから工務店に向かうベクトルをいかに作るかを考えるしかありません。
私が勧める道具はホームページ、インスタグラム、X、ユーチューブの4つで、これでほぼすべては解決します。
4つとも、工務店がお客さんを追いかけるのではなく、工務店が勝手に発信するだけの道具です。
発信の内容が良ければ、お客さんのほうから工務店を見に来てくれます。
汗は流さなくてはダメですが、ベクトルの向きを意識して内容の濃い発信を続ける知恵も同時に絞れば、工務店が押しまくる会社に負けることはありません。
ホームページやSNSでの発信と、メールや電話、訪問の使い分けは、工務店の追客方法と訪問・メールの効果で解説しています。
まとめ
住宅営業の追客がしつこいかどうかは、競合の動きとお客さんの言葉で決まります。
先日取材した契約客の奥様のように、競合がガンガン連絡してくる中で連絡が途絶えると、お客さんは客として見られていないと感じます。
一方で、「いやだ」と言われた後にピタッとやめた住宅会社は、要望を守る営業として受け止められます。
押す営業をしない工務店も、ホームページ、インスタグラム、X、ユーチューブでお客さんから来るベクトルを作れば、イケイケの会社とまともに張り合わずにお客さんを呼べます。
ぜひ本記事の契約客の本音と追客をやめる基準を参考に、自社の追客のルールを見直してください。



