住宅展示場の来場者が減少する5つの理由と住宅会社の接客の変え方

住宅展示場の来場者が減少する5つの理由と住宅会社の接客の変え方

住宅展示場の来場者数は減っていますが、ビジネスモデルが崩れるほどの急減ではなく、少しずつ減る漸減(ぜんげん)だと私は見ています。減っている理由は、新築希望者の減少、高齢化、住宅会社によるバーチャル化、SUUMOカウンターの普及、ホームページでの事前の絞り込みの5つです。

本記事では、住宅展示場の来場者が減少している5つの理由と、下調べをしてから来場するお客さんに合わせたホームページの見直し方、初回接客の変え方を解説します。

住宅展示場の来場者は減少しても、ビジネスモデルは崩れない

住宅展示場の来場者数は、実際に減っています。住宅展示場を持っている住宅会社にとっては実感どおりの話ですが、これから住宅展示場を建てようと考えている住宅会社にとっては気になる事実です。

新築の着工戸数は10年後に半減するという予想が出ており、私もおそらくそのとおりに推移すると考えています。すでに新築事業で勝負している住宅会社はこの半減時代を生き残らなくてはならず、これから参入する住宅会社も押さえるところを押さえて生き残らなくてはなりません。

それでも、住宅展示場のビジネスモデルが崩壊するというのは、さすがにオーバーです。新築希望者の減少やバーチャル展示場の急速な普及が背景にあり、住宅選びがバーチャルの時代に向かっているのは事実ですが、私は少しずつ減っていく漸減が正確な表現だと考えています。

総合住宅展示場の縮小を受けた小規模工務店の展示場とネット活用の考え方は、工務店の住宅展示場戦略で解説しています。

お客さんは数千万円もする住宅を買うのですから、実物を確認したいという気持ちがなくなることはありえないと私は思います。住宅の購入は高額な買い物であるうえに、お客さんにとっては住宅会社と契約するまでの過程を楽しむこと自体がイベントになっています。

せっかくのイベントを、お客さんがバーチャルだけで済ませても面白くありません。お客さんが住宅展示場や現場見学会、住宅設備のショールームに足を運び、商品を自分の目で確かめて、説明してくれる人から直接話を聞きたいと考えるのは当然です。

住宅展示場の来場者が減少する5つの理由

住宅展示場の来場者が減っている背景には、5つの主な要因があります。

新築希望者の減少と高齢化

最も端的で分かりやすい理由は、新築希望者の減少です。新築をする人自体が減るわけですから、住宅展示場の来場者が減るのは自明の理です。

新築希望者が減るのと同時に高齢化社会を迎えるので、住宅会社のお客さんも若い人だけでなく年配の人が増えてきます。たとえば70代の夫婦が平屋のセカンドハウスを建てる場合、夫婦にとってリアルの住宅展示場へ出向くのは若い人より億劫(おっくう)で、体の具合によっては自宅にいながらバーチャルで家を選べるほうが便利です。

住宅会社が進めるバーチャル展示場とWEB商談

リアルの住宅展示場しかなければ、お客さんは面倒でも住宅展示場へ足を運びます。ところが、住宅会社自体が積極的にバーチャルを進める傾向は今後も続き、コロナをきっかけに大手のハウスメーカーを中心にWEBを使った商談ツールが続々と開発されています。

帰省中に住宅展示場へ来場する遠方のお客さんへの接客とWEB商談の準備は、帰省客の接客で確認する親の考え方で解説しています。

一条工務店などは来場したお客さんにタブレットを貸し出しており、お客さんは営業マンに会うために住宅展示場へ来なくても、ある程度の商品を自分で見学できます。各社がこうしたサービスを競うので、お客さんが住宅展示場へ足を運ぶ回数は減っていくと十分に推測できます。

SUUMOカウンターとホームページで見学先を絞り込むお客さん

SUUMOの影響は極めて大きいと私は見ています。お客さんがSUUMOカウンターに相談に行くと、条件に合った住宅会社を2〜3社紹介され、お客さんがそこへアポを取って訪ねる形がかなり定番になりました。

従来のお客さんは、総合住宅展示場にふらりと出かけ、思いつくままに5社、6社とモデルハウスをはしごするのが一般的でした。2〜3社に絞り込んでアポイントを取ってくるお客さんが増えれば、住宅会社1社あたりの来場者は必然的に減ります。

SUUMOカウンターから紹介されて来場するお客さんを成約につなげる方法は、SUUMO紹介客の成約率を上げる事前準備で解説しています。

SUUMOカウンターを使わないお客さんでも、自分でホームページをきっちりチェックして見学先を絞り込んでくる人が大きく増えました。

ホームページの精度で住宅展示場の来場が決まる

インスタグラムやYouTubeが大きく脚光を浴びていますが、住宅会社が率先して取り組むべきなのは、ホームページの精度を上げることだと私は考えています。最初のきっかけがインスタグラムやYouTubeだったとしても、お客さんはそこで住宅会社を知れば、次にホームページを見に来ます。

住宅会社がいくらインスタグラムをおしゃれに作っても、ホームページの精度が低かったり、おしゃれな雰囲気が欠けていたりすれば、お客さんがその先へ進む可能性は低くなります。

お客さんの中で住宅展示場まで行こうという気持ちは大きく下がり、その住宅会社は見学先のリストから外されます。

SNSの運用はハウスメーカー・工務店のSNS集客で解説しています。

住宅営業の現場を知らない制作会社が作るホームページ

私は住宅展示場を持つ住宅会社に出入りしており、各社の情報も毎日のようにどこからか入ってきます。住宅展示場を持つ住宅会社に私が一つだけアドバイスをするなら、ホームページの見直しを勧めます。

「うちは綺麗に作ってあるよ」

住宅会社の側からは、こう言われるかもしれません。どの住宅会社のホームページも一見すると綺麗にまとまっているので、住宅会社は自信を持っていますが、私から見ると穴だらけのホームページが多いのが実情です。

理由の一つとして考えられるのは、ホームページ制作会社が住宅販売のことを分かっていない点です。住宅営業の現場を分かった人が制作に関わるのと、現場を知らない人が飲食店などと同じノリで作るのとでは、ホームページの精度に格段の差が出ます。

10年前と今で変わった住宅展示場の初回接客

お客さんは会社の中身を調べてから来場する

10年前と今の住宅展示場の接客で一番大きな違いは、お客さんが来場前に住宅会社のことを知っている点だと私は思っています。

あるお客さんが、総合住宅展示場に建つ積水ハウスのモデルハウスに来場したとします。

積水ハウスの知名度は圧倒的なので、お客さんが社名をまったく知らずにたまたま入ってくる可能性は極めて低いと考えられます。

それでも10年前のお客さんは、社名は知っていても、積水ハウスの中身についてはほぼ知識がない状態で来場していました。

ここ最近の傾向を見ていると明らかで、積水ハウスに来るお客さんは、積水ハウスのことをかなり勉強してから住宅展示場に来ます。積水ハウスに限らずほかの住宅会社でもまったく同じで、お客さんは事前にホームページを隅々までチェックし、構造やデザインなどの特徴を頭に叩き込んだうえで来場します。

基本的な説明を省いて強みの理由から話す

お客さんがホームページを読み込んで来場した場合、会社の歴史や考え方、資本金などの情報まで頭に入っているかもしれません。住宅会社に関連会社があれば、お客さんはそれも把握している可能性があります。

構造、防蟻(ぼうぎ)対策、アフターサービスまでほぼ頭に入れて来たお客さんに、住宅営業が建物構造やシロアリへの対応を一から説明すると、お客さんは心の中で「そのあたりはもう分かってますよ……」と思うかもしれません。私が住宅営業であれば、お客さんとこんなやり取りをします。

私「森ホームは初めてですか?」

お客様「はいそうです」

私「他の方もホームページを読み込んでから来られる方が多いのですが、お客様も弊社のホームページをご覧になりましたか?」

お客様「ええ、かなりしっかり見てきましたよ(笑)」

私「構造はもちろんなのですが、アフターサービスについては他社よりかなり良いものを持っておりまして、それもホームページに大きく書いてあります。そのあたりもご覧になられたのでしょうね……」

お客様「はい、20年保証などはかなり珍しいと思って、目が止まりました」

住宅展示場で住宅営業がお客さんと話す初回接客の様子

森ホームの例のような会話になれば、お客さんは20年保証の項目をじっくり読んでいます。住宅営業は基本的なところを割愛し、20年保証が他社にない強みであることに加えて、なぜ自社がこの保証をするに至ったのかから話せばいいのです。

現役時代のバリアフリーの説明で使った聞き方

私も現役時代に同じような対応をしていました。ホームページなどもちろんなかった時代ですが、私はバリアフリーについて、こんな質問をしながらお客さんを接客したものです。

私「弊社はバリアフリーを標準仕様にしているのですが、バリアフリーはどの会社でも説明を必ずしますので、お客様もどちらかで既に聞かれていませんかね?」

お客様「さっき行ったセキスイハイムさんで散々聞きました」

私「そうですか。では、もうこのご説明はよろしいですよね」

話の核心は、森ホームの例も私の現役時代の例も同じです。住宅営業は、お客さんが「その話はもう聞いたよ」と感じる場面をできるだけ避けるべきです。

お客さんがホームページを読み込んでいるかを最初に確かめ、割愛してよい説明を聞く進め方は、住宅展示場の初回接客の進め方で解説しています。

まとめ

住宅展示場の来場者数は減少していますが、実物を見たいお客さんがいる限り急になくなるわけではなく、漸減と見るのが正確です。減っている理由は、新築希望者の減少、高齢化、住宅会社のバーチャル化、SUUMOカウンターの普及、ホームページでの事前の絞り込みの5つです。

来場するお客さんの多くはホームページで住宅会社を調べてから来ます。住宅会社がホームページの精度を上げ、住宅営業が初回接客で「その話はもう聞いた」と思わせないことが、着工戸数の半減時代を生き残る手になります。

ぜひ本記事の5つの理由と接客のやり取りを参考に、自社のホームページと住宅展示場の初回接客を見直してください。

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